シャンクスの傷に隠された伏線 『ワンピース』赤髪海賊団vs白ひげ海賊団の真実とは

■シャンクスは黒ひげを「強敵」認定した？

『ONE PIECE（ワンピース）』に登場するシャンクスは、作中で最重要キャラでありながら、いまだ多くの謎に包まれています。黒ひげ（マーシャル・D・ティーチ）に付けられたという左目の3本の傷にも、まだ何か秘密が隠されていそうです。そもそもこの傷は、一体いつごろ付けられたものなのでしょうか。

　まず第1話を確認してみると、すでにシャンクスの左目には傷がありました。ただ冒頭で「港には1年程前から海賊船が停泊している」と説明があったため、物語のスタート時点で赤髪海賊団がフーシャ村に訪れてから1年は経過していることが分かります。

　では、ルフィが初めてシャンクスに会ったとき、傷はすでにあったのでしょうか。この答えは2022年公開の映画『ONE PIECE FILM RED』連動エピソードとして放送された、アニメ第1029話「淡い記憶ルフィと赤髪の娘ウタ」で判明しました。ルフィと赤髪海賊団の出会いを描いたこのエピソードから、ふたりが出会った時点でシャンクスの左目には傷があったことが分かります。

　しかし『ONE PIECE FILM RED』で描かれた幼きウタとシャンクスの出会いのシーンでは、まだ傷がありません。ここで再び原作に戻り、赤髪海賊団が「ゴムゴムの実」を運ぶ護送船を襲撃した際の描写を見てみると、シャンクスの左目に傷を確認することができます。

　つまりウタを拾ったときから護送船襲撃までの間に、シャンクスは黒ひげに傷をつけられたことになるでしょう。そして、当時の黒ひげは白ひげ海賊団に所属していました。だとすれば、シャンクスが傷を負ったのは、赤髪海賊団と白ひげ海賊団の戦いの最中であった可能性が高いです。

　では、なぜ両者の間に戦いが勃発したのでしょうか。もちろん、どちらも海賊なので出会ったら戦闘になっても何ら不思議ではありません。重要なのは、この戦いでシャンクスが黒ひげを「強敵」認定したという点にあります。

　時系列でいえば「赤髪海賊団vs白ひげ海賊団」のあとに護送船襲撃となるので、もしかするとシャンクスが「ゴムゴムの実」を求めた理由は黒ひげにあったのかもしれません。

　そう考えると、シャンクスは「ゴムゴムの実」が「ヒトヒトの実　幻獣種　モデル：ニカ」だと知っていた可能性があります。まだ憶測の域を出ませんが、もしこの説が正しいなら、「なぜシャンクスは『ゴムゴムの実』の正体を知っていたのか」「ルフィが食べたのは偶然だったのか」など、新たな謎も浮上しました。

　どれほど小さな設定であっても、壮大な伏線へとつながっているのが『ONE PIECE』の醍醐味です。最重要人物のひとりでもあるシャンクスと黒ひげの因縁がこもった3本の傷に、「深い理由がない」わけがありません。ふたりの間に何があったのか、真相が明かされる日はくるのでしょうか。

（ハララ書房）