主人公よりインパクト大でオイシイ？ ファンを魅了した悪役キャラ3選

■悪役なのに愛されるのはなぜ？

　主人公の行く先を阻んで、時には殺しにかかってくる悪役たちのなかには、強烈な個性や印象に残るような名言を残して、視聴者を引き付けてやまないキャラが多数います。今回は、主人公以上の人気、存在感を誇る悪役キャラを振り返ります。

●『ヤッターマン』ドロンジョ

　アニメ『ヤッターマン』に登場するドロンジョは、悪党「ドロンボー一味」のボスである美女です。インチキ商売や盗みなどの悪だくみを考えますが、ことごとく失敗して、そのたびにドロンボー一味の黒幕であるドクロベーにお仕置きされています。

　懲りずに新しい悪だくみをするドロンジョは、キュートでセクシーな見た目だけでなく、部下もろとも間抜けで毎回失敗する点が魅力的で、長年人気です。「国民的ダークヒロイン」として、今でも「絶妙にコミカルで愛着が湧く」「敵ながら憎めないキャラ」など、ドロンジョの人間らしさあふれるキャラが支持されています。

　また、ドロンボー一味に焦点を当てたスピンオフ作品『夜ノヤッターマン』や、池田エライザさん主演でドロンジョの過去を新しい視点で描いたWOWOWオリジナルドラマ『DORONJO／ドロンジョ』が放送されるなど、スピンオフも人気です。2009年に公開された実写『ヤッターマン』で、深田恭子さんが演じたドロンジョも、雑誌の表紙を飾るなど、大きな注目を集めました。

●『Re:ゼロから始める異世界生活』ペテルギウス・ロマネコンティ

　ライトノベル原作のアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』に登場するペテルギウス・ロマネコンティは、主人公のナツキ・スバルが敵対する組織「魔女教」の幹部・大罪司教のひとりです。緑色の髪をしたおかっぱ頭に真っ白で痩せこけた顔で、見た目だけでもかなりのインパクトがあります。

　なかでも視聴者に強烈な印象を与えたのは、頭を90度に傾ける動きや、興奮した様子で喋っていたかと思えば急に冷静になる話し口調、血が出るまで自分の指を噛むなどの徹底した狂人ぶりです。スバルの目の前でヒロインのレムを殺害する残虐性もあり、トラウマ級の悪役としても知られています。

　しかし、「脳が震える」「アナタ…怠惰、デスね？」などの独特の名言を残していたり、行動や言動の全てから伝わってくる狂人ぶりが、逆に「キモかわいい」とまで言われていたりなど、ファンからはネタキャラとして愛されています。

　ホビーブランド「F:NEX」からは、ペテルギウスの実物大の胸像フィギュアが販売されたことがあります。人気ヒロインである双子のメイド・レムとラムに続いて発売されていたことからも、彼の高い人気がうかがえました。

●『めだかボックス』球磨川禊

　マンガ『めだかボックス』に登場する球磨川禊は、箱庭学園三年年マイナス十三組のリーダーで、主人公・黒神めだかの敵として登場する男子高校生です。常軌を逸した言動が目立ち、倫理観を疑うような性格かと思いきや、物語が進むにつれてハマってしまう唯一無二の存在感で、公式で発表された人気キャラ投票ランキングでは第2回・第3回で1位を獲得しています。

「スキル」と呼ばれる異能力を駆使したバトルが見どころの同作において、球磨川は起きたことすべてをなかったことにできるチート級な能力の持ち主です。その一方で、どんなに努力しても必ず敗北する、という悲惨な運命を背負っています。そんな自分の運命を受け入れた上で、何度も戦いに挑み続ける姿に魅了された読者は多いでしょう。

　ネット上では「球磨川禊が登場してからが面白い」「弱さを極めた強さ」との声があり、アニメ番外編「グッドルーザー球磨川」では、球磨川が主人公として放送されました。敗北を運命づけられているからこその信条を持つ球磨川の行動や言動には深みがあり、不思議な魅力、人気につながっています。

（LUIS FIELD）