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創作物での「三姉妹」 なぜ定番? 「3」という数字には特別な意味も

マグミクス / 2024年3月4日 20時10分

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■少女たちにフォーカスした名作の数々

 一般社団法人日本記念日協会によると、3月4日は「三姉妹の日」です。アニメや漫画では『キャッツ・アイ』を筆頭に『みなみけ』や『みつどもえ』など三姉妹を主人公にした作品が人気を博していますが、これは日本特有の現象なのでしょうか。3という数字に隠された意外な秘密や、いわゆる「姉妹モノ」作品について振り返ります。

●読みつがれる名作文学『若草物語』

 日本の漫画やアニメ、小説において「複数の少女」が活躍する作品は多く発表されていますが、海外でも少女たちにフォーカスした作品は珍しくありません。1813年に出版されたジェイン・オースティンの『高慢と偏見』は5人の姉妹が登場しますし、古典中の古典ともいえるシェイクスピアの『リア王』では三姉妹が重要な役割を担います。しかし特に日本国内で有名なのは、アメリカの作家ルイーザ・メイ・オルコットが1868年に発表した『若草物語』ではないでしょうか。

『若草物語』では南北戦争の時代を舞台に、家庭的な長女「メグ(マーガレット)」、活発でボーイッシュな次女「ジョー(ジョゼフィーン)」、内気で病弱な三女「ベス(エリザベス)」、おしゃまな四女「エイミー」の日常を描いており、貧乏や人生に悩みながらも真摯に生きていく姿は理想的な家庭像として多くの人の心を打ちました。

『若草物語』はアメリカやイギリスで、度々TVドラマや映画が制作されているだけでなく、日本でも絵本化、マンガ化、映画化、舞台化、TVアニメ化など幅広く展開しています。学校の図書室などで手に取ったことがある人も多いのではないでしょうか。

 発表から100年以上経過しても『若草物語』のテーマや姉妹像には、多くの人に受け入れられる普遍性があります。現在まで続く「姉妹あるある」ネタや「日常系」作品に近いのかもしれません。姉妹の書き分けによって多様な女性キャラクターを表現するという点において、同作にインスピレーションを受けた作家も多いことでしょう。『若草物語』は現代まで続く姉妹モノ作品の原点なのかもしれません。

■なぜ「3」姉妹なのか?

1985年に出版されてから長く愛されてきた名作。イラストが今風にリニューアルされている。講談社文庫「三姉妹探偵団」 書影

 日本のアニメやマンガにおける三姉妹モノ作品もまた多様な女性が登場します。北条司による『キャッツ・アイ』では、しっかり者の長女と活発な次女、ボーイッシュな三女が活躍しますし、羽海野チカの『3月のライオン』では、厳しい勝負の世界を生きる棋士の主人公と、川本家の三姉妹の心温まる交流が描かれます。川本家の三姉妹像は『若草物語』と似ており、長女はおっとりしていて母性的、次女は活発、三女は甘えん坊です。

 また『若草物語』的な関係性の変奏曲としては、赤川次郎による小説『三姉妹探偵団』シリーズが挙げられます。同作では長女が天然ボケ気味で、次女がしっかり者、三女は甘えん坊ではなくケチな「ちゃっかり」者です。同作はシリーズ24巻が刊行されており、TVドラマ化や映画化(四姉妹探偵団に脚色)を果たしました。桜井のりおの『みつどもえ』の三姉妹像はさらに特徴的で、「丸井家三姉妹」は三つ子でありながら「日本でもっとも似ていない」といわれるほど外見や性格が異なります。

 姉妹のキャラクター性の違いは、同じ家庭に生まれ育っていることから、純粋に彼女たちの個性の違いとして表現されているようです。三姉妹はキャラクターに性格付けしやすい関係性だといえるでしょう。

●「3」という魔法の数字

 三姉妹はなぜ「3」姉妹なのでしょうか。3という数字には昔から特別な意味が込められています。特にギリシア神話では3の要素が色濃く現れており、「アトロポス」「ラケシス」「クロト」の「運命の三女神」や、「エウノミア」「ディケ」「エイレネ」の「季節の三女神」、「ステンノー」「エウリュアレー」「メドゥーサ」の「ゴルゴン三姉妹」などが登場します。「トロイの木馬」で知られるトロイア戦争も、「ヘラ」「アテナ」「アフロディーテ」の三女神が黄金の林檎を巡って、トロイアの王子「パリス」に審判を委ねたことが原因となって勃発しました。

 ギリシア神話だけでなく日本の神話においても「3」は特別です。「アマテラス」「ツクヨミ」「スサノオ」の三貴神や、「八咫鏡」「天叢雲剣(草薙剣)」「八尺瓊勾玉」の「三種の神器」について聞いたことがある、という人は多いはずです。「大中小」「現在過去未来」「三度目の正直」「三日坊主」「三大◯◯」など「3」という数字には、物事を包括的に表現できる機能があるようです。

 この「3」の特徴を「姉妹」と組み合わせたものが「三姉妹モノ作品」です。環境に左右されない純粋な女性の多様性と、その関係性が「三姉妹」作品に隠された魅力ではないでしょうか。

※『キャッツ・アイ』の「・」は、正しくはハートマーク

(レトロ@長谷部 耕平)

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