新旧ウルトラマンが大集結！シリーズの世界観をつなげた『メビウス』の功績とは

■ハヤタ、ダン、郷秀樹らが登場し、メビウスを応援？

　2024年1月31日、玄光社から『特撮アーカイブ ウルトラマンメビウス』も刊行された『ウルトラマンメビウス』（2006年～2007年）といえば、1980年『ウルトラマン80』以来のウルトラ兄弟の設定が復活した作品です。

　さらに劇場版では『ウルトラマンティガ』『ウルトラマンダイナ』『ウルトラマンガイア』とまさかの共演を果たし、昭和と平成の『ウルトラマン』が一度に集結する夢の舞台を実現させました。今回は、『メビウス』にウルトラ兄弟が登場した経緯を振り返りましょう。

ウルトラマンシリーズが復活した1996年『ウルトラマンティガ』では、ウルトラマンは古代文明の守護者だった「光の巨人」という設定でした。「M78星雲の光の国から来たウルトラ兄弟」の設定はリセットされ、続く1997年『ウルトラマンダイナ』、1998年『ウルトラマンガイア』でも継承されます。

　2001年『ウルトラマンコスモス』からは再び宇宙から来た設定に戻りますが、旧作に登場した単体の星人や怪獣が再登場することはあっても、ウルトラ兄弟と交わることはありませんでした。

　そして、1966年の『ウルトラQ』から始まるウルトラシリーズの40周年として『ウルトラマンメビウス』が制作され、待望のウルトラ兄弟が復活します。宇宙警備隊のルーキー「ウルトラマンメビウス」はウルトラの父から使命を帯びて地球に飛来、普段は「CREW GUYS」の隊員ヒビノミライとして地球防衛の任務に就いています。

　放送中には、ウルトラファミリーがかわるがわるゲスト出演すると同時に、ウルトラ兄弟が戦った歴代の星人や怪獣も登場しました。うれしいのはハヤタ、モロボシ・ダン、郷秀樹、北斗星司、おおとりゲン、矢的猛、歴代ウルトラマンを演じたオリジナルキャストがゲスト出演したことです。そして、一番末の弟メビウスの成長を見守りました。

■さらに劇場版第2弾ではティガ、ダイナ、ガイアとも共演

　そして、2006年放送中に公開された劇場版『ウルトラマンメビウス＆ウルトラ兄弟』の好評を受けて制作された2008年『大決戦!超ウルトラ8兄弟』では、ウルトラ兄弟と『ティガ』『ダイナ』『ガイア』の世界が初めて交わります。

　物語は、ウルトラマンがTV番組のヒーローに過ぎないパラレルワールドです。ティガに変身するマドカ・ダイゴは横浜市役所の公務員、ダイナに変身するアスカ・シンは横浜スタジアムのボールボーイ、ガイアに変身する高山我夢は横浜マリタイムミュージアムの学芸員と、平凡な生活を送っています。

　ところが、ダイゴの恋人レナの父ハヤタは、実はかつてウルトラマンでした。この世界に住んで科学特捜隊員だったフジ・アキコと結婚し、サイクルショップを経営していたのです。レナを演じた吉本多香美さんと、実の父親であるハヤタ役の黒部進さんが、「ウルトラマン」シリーズではじめて親子共演を果たしています。

　また、パラレルワールドで正体を隠して暮らしているのは、ハヤタだけではありませんでした。

　さらに、『ウルトラセブン』のモロボシ・ダンは最終回に別れたはずのアンヌと結婚してハワイアンレストランを経営し、『帰ってきたウルトラマン』の郷秀樹はドラマで死別したはずの坂田アキと結婚して「坂田モーターズ」を経営、そして『ウルトラマンA』の北斗星司は、月に帰ったはずの南夕子と一緒にパン屋を経営しています。

　ドラマではありえなかった幸せな結末を迎えた主人公たちの生活が描かれ、ファンを歓喜させました。その他、昭和平成のウルトラシリーズに縁のあるキャストが多数カメオ出演しています。

　やがて平和だった世界の均衡がスーパーヒッポリト星人の陰謀により崩れたことで、メビウス、マン、セブン、ジャック、A、ティガ、ダイナ、ガイアの8兄弟が集います。郷秀樹役の団時朗さんが亡くなった今、2度とない新旧のコラボレーションでした。

　この『大決戦！超ウルトラ8兄弟』をきっかけに、すべてのウルトラマンの世界がつながり、2013年『ウルトラマンギンガ』から始まった「ニュージェネレーションヒーローズ」と呼ばれる作品からは、歴代ウルトラマンが当たり前のように登場する礎になりました。

（LUIS FIELD）