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ロボはなぜ合体変形するのか 答えはその元祖『ゲッターロボ』にある? 放送から50年

マグミクス / 2024年4月4日 6時10分

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■立体で再現不可能な超絶合体変形はどうやって生まれたのか?

 本日4月4日は、1974年にTVアニメ『ゲッターロボ』が放送開始した日です。今年2024年で半世紀の時が経ちました。合体変形ロボの元祖ともいわれている『ゲッターロボ』について振り返ってみましょう。

 本作はTVアニメ『マジンガーZ』の大ヒットから、「同じく巨大ロボットをメインにした作品ができないか?」ということで企画されました。製作は『マジンガーZ』と同じく、アニメ会社の東映動画(現在の東映アニメーション)、原作者である永井豪先生とダイナミックプロ、玩具会社のポピー(現在のバンダイ)で行われ、これに出版社として、『マジンガーZ』では講談社だったところを、代わりにライバル関係にあった小学館が加わります。

 逆を言えば、ここまで『マジンガーZ』と同じ製作陣であったため、その模倣ではなく、まったく新しいロボットアニメを最初から模索することになりました。それが、主人公たちの乗機3機が合体して巨大ロボになり、その順番によって別の姿になるというものです。しかし根本となるシステムは早々に決まったものの、その設定に苦戦することとなりました。

 最初の企画では、メカではなく「3人の中学生がサイボーグとなって人間ピラミッドを築き、その頂点になる人物によって姿が変わるロボット」という設定となります。この時のタイトルは『チェンジロボット ゲッター3』で、この時点で3体のロボは腹部にビームを持つタイプ、スピードタイプ、パワータイプと設定されました。

「サイボーグが合体して巨大ロボになる」……今の感覚で考えると異質な設定に思えますが、これは当時の変身ブームを踏まえると、理解できる設定といえるでしょう。現代のように設定に一定の合理性が必要であることよりも、子供たちがおどろくような新しいものを生み出すことの方が重要だったわけです。

 この「サイボーグ」という設定が「レーシングマシン」へと変わり、それが最終的に「戦闘機」となりました。こうして『ゲッターロボ』の大まかな設定と方向性が決まります。しかし、ここでまたしても難題が立ちふさがりました。それが「ゲッターロボ」の各デザインです。

「神隼人」と「ゲッター2」。東映ビデオ「ゲッターロボ VOL.2」 (C)ダイナミック企画・東映アニメーション

 デザインを担当した石川賢先生は、このデザインを考えるのに四苦八苦しました。しかし、永井先生の自由な発想が状況を打開します。それが本作で見せた「立体物として実現不可能な変形でも、絵的には納得できる自由な合体方式」です。

 ちなみに記憶形状合金の実用化は1980年代以降のことになります。この時代には発想自体、なかったことです。この永井先生の自由な発想が「ゲッター」を生み出し、稀代の名作を誕生させるきっかけとなりました。

 これによりロボットアニメブームと呼ばれる時代が幕を開けたわけです。後続のロボットアニメの主役ロボが変形ないし合体機能を持つことになったのは、この『ゲッターロボ』に源流があるといえるでしょう。

 もっとも後続の巨大ロボたちは、「ゲッターロボ」ほど自由な変形合体はしておらず、どの作品もオモチャで再現可能なデザインとなっています。そういった点で「ゲッターロボ」は、始祖ゆえに許された禁断の合体変形ロボだったといえるかもしれません。

 ちなみにポピーは、「ゲッターロボ」の合体変形の実現は考えておらず、単純に主役ロボが3体なら売り上げも3倍、という考え方だったそうです。つくづく、まだロボットアニメ黎明期ゆえに許された作品だったといえるでしょう。

■合体変形だけでなかった『ゲッターロボ』の魅力とは?

「巴武蔵」と「ゲッター3」。東映ビデオ「ゲッターロボ VOL.3」 (C)ダイナミック企画・東映アニメーション

『ゲッターロボ』が後のロボットアニメに与えた影響は、合体変形だけではありません。ほかにもいくつかのレガシーを残しました。その最たるものが「チームで戦う」というスタイルです。

「ゲッター1」のパイロットである「リョウ」こと「流竜馬(ながれりょうま)」、「ゲッター2」のパイロットである「ハヤト」こと「神隼人(じんはやと)」、「ゲッター3」のパイロットである「ムサシ」こと「巴武蔵(ともえむさし)」のメインキャラクター3人は個性豊かで、その性格や考えの違いが本作のドラマを引っ張っていく要素となりました。

 当時は『マジンガーZ』の「兜甲児(かぶとこうじ)」を含め、ヒーローもので複数人が同格の扱いという作品は多くありません。『ゲッターロボ』ではこの3人を同格の主役にすることで、一定のローテーションで物語に変化を付けられるようになりました。

 ロボットも万能型でビームを必殺技に持つ「ゲッター1」、スピードに特化したドリル持ちの「ゲッター2」、無限軌道(いわゆるキャタピラー)装備でパワータイプの「ゲッター3」というように個性的で、子供の趣味を網羅したようなバラバラの個性を持っています。

 後年に発売されたゲーム『スーパーロボット大戦』で『ゲッターロボ』を知った世代にはピンと来ないかもしれませんが、アニメでは思った以上に「ムサシ」と「ゲッター3」の活躍が多く、3体の「ゲッターロボ」はほぼ同格の人気を得ていました。

 ポピーの思惑だった「主人公ロボが3機」という部分は、まさに的確だったといえるでしょう。そして、この部分が『マジンガーZ』や続編『グレートマジンガー』との大きな違いとなったわけです。

『マジンガーZ』では「アフロダイA」や「ボスボロット」といったサブロボットとの共演で話を盛り上げていましたが、最後にクローズアップされるのは主役の「マジンガーZ」でした。その逆に『ゲッターロボ』は「コマンドマシン」というフォローがあるものの、常に「ゲッター」は1機のみの戦いを強いられ、トドメは3機のうちの1機という展開です。

 こういった差別化が『マジンガー』と『ゲッター』という両雄を並び立てたのでしょう。さらに『ゲッターロボ』では味方側だけでなく、敵側にもドラマを用意した点が新しかったといえるかもしれません。

 それは定番である敵幹部のほかに、1話限りのゲストキャラクターとして「キャプテン」という存在を用意した点です。いわゆる1話限りの「やられメカ」ではなく、個性的な敵のゲストキャラクターを用意することで、悪側のドラマも作りだしました。

 はからずも「ゲッター」と共闘した「キャプテン・ラドラ」、「バット将軍」を亡き者にして地位を奪おうとした「キャプテン・ザンキ」、「早乙女博士」のもとにスパイとして潜り込みながらも娘「ミユキ」としての心に葛藤する恐竜帝国の「帝王ゴール」の娘「王女ゴーラ」、「リョウ」をダマしたものの最期に改心して散っていった「女竜戦士ユンケ」など、敵側を中心としたドラマを盛り上げています。

 近年ではどうしても石川先生のマンガ版『ゲッターロボ』が注目されがちですが、同時並行で製作されて後のロボットアニメに多大な影響を与えたTVアニメ版も同じくらい偉大な作品でしょう。もしも、まだ未見という人がいればお勧めしたい作品のひとつです。

(加々美利治)

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