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ファン激怒「ウルトラマンセブン」なぜ広まった? 「マン」はどこからやってきたのか

マグミクス / 2024年4月14日 7時25分

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■「ウルトラ」シリーズの歴史を振り返ると判明した誤字の意味

 世の中には、名前を間違えて広く覚えられてしまっている事物というのは珍しくありません。そのような場合、さりげなく正解を教えるのが大人の対応ですが、時には怒りが先に立つこともあるでしょう。そうした、特撮ファンの間で大炎上する「間違った名前」のひとつに、「ウルトラマンセブン」があります。

 正しい名前は「ウルトラセブン」です。ファンならわかって当然、一般の人でも間違える人は少ないかもしれません。しかし、「ウルトラマンセブン」はSNSなどでたびたび話題に上っています。

 ネタとしてあえて使っている人もいることでしょうが、本当に間違えて名前を覚えてしまっている人も、皆無ではないでしょう。では、どこで、どうやって間違えて覚えてしまったのでしょうか、「ウルトラ」シリーズの歴史を紐解いて考えていこうと思います。

 まずは、最初の「ウルトラ」シリーズの歴史を見ていきましょう。1966年にTBS系列で放送開始した『ウルトラQ』が、シリーズの始まりでした。その後、番組は第二弾『ウルトラマン』(1966年)へと続きます。ちなみに、この時間枠のスポンサーが「武田薬品」の一社提供だったことから、「タケダアワー」とも呼ばれていました。

「怪獣ブーム」の発信源となったことで、いつしか「ウルトラシリーズ」と呼ばれるようになった放送枠は、第三弾『キャプテンウルトラ』(1967年)へと引き継がれます。しかし、この作品はそれまでの「円谷プロ」による作品ではなく、「東映」制作の作品でした。

 これはスケジュール的に『ウルトラマン』の放送延長が不可能となったことで、円谷プロから東映に制作を移すという、TBSの苦肉の策でした。この間に円谷プロは態勢を立て直し、第四弾となる『ウルトラセブン』(1967年)を制作します。

 ここまでが第一期「ウルトラ」シリーズといわれる作品群です(『ウルトラセブン』の後番組で円谷プロ制作の『怪奇大作戦』を入れる場合もあります)。もっとも、東映制作ということで『キャプテンウルトラ』は、「ウルトラ」シリーズではないというのが現在の一般的な認知でしょうか。それは現在にいたるまでの「ウルトラ」シリーズにおいて、放送局やスポンサーは必ずしも同じわけではなく、「円谷プロが制作した作品」という共通項が重要となっているからです。

 ちなみに東映制作の「ウルトラ」シリーズは、企画段階で流れてしまいましたが、『ウルトラ=メカ』という作品が『ウルトラセブン』の後番組として用意されていました。地球制服をたくらむマッドサイエンティスト「ジン博士」のメカ怪物と、主人公「マツヤマ博士」の巨大メカニック「ウルトラメカ」との戦いを描くという作品です。おそらく当時、子供に人気だった『サンダーバード』などからインスピレーションされた作品でしょう。

 さて、ここまで列挙した作品名から、すでにピンと来ている人も多いことと思います。「ウルトラセブン」に不必要な「マン」を付与しておぼえている人がいる理由、それは第二期「ウルトラ」シリーズにありました。

■「ウルトラマンセブン」誕生のきっかけは第二期「ウルトラ」シリーズにあった

『ウルトラセブン HDリマスター版』より (C)円谷プロ

 第二期「ウルトラ」シリーズとして放映された作品は、『帰ってきたウルトラマン』『ウルトラマンA』『ウルトラマンタロウ』『ウルトラマンレオ』の4作品です。

 こう列挙するともうおわかりでしょうが、第二期から作品タイトルに入る文字が「ウルトラ」ではなく「ウルトラマン」となっています。これはどうしてでしょうか。

『帰ってきたウルトラマン』は当初、『続ウルトラマン』というタイトルで、『ウルトラマン』(1966年)に登場した「ウルトラマン」が再び地球に戻ってくる予定でした。しかし、商品化を考えると別人の方がいいというスポンサーの意向から、別のウルトラマンに変更されます。そうした理由から、タイトルに「ウルトラマン」の文字が入るのは不思議ではありません。

 その後番組となった『ウルトラマンA』は、実は当初の予定では『ウルトラA』というタイトルの予定でした。これは直前で変更されたもので、そのためか当時の雑誌での先行情報では『ウルトラA』として発表されていたものも多くあります。

 この直前のタイトル変更には理由がありました。玩具メーカーのマルサンから「怪傑透明ウルトラエース」という商品が既に発売されていたからです。そこで商標登録を考慮して『ウルトラマンA』へとタイトルを変更しました。

 つまり本来ならば「ウルトラマン○○」という名前ではなく、「ウルトラ○○」という名前でシリーズは進む予定だったというわけです。この突然の事態に、以降のウルトラ戦士は「ウルトラマン○○」となり、「ウルトラセブン」だけ「マン」の付かないウルトラ戦士になってしまいました。

 ちなみに『タロウ』の企画書タイトルは、『ウルトラマンスター』『ウルトラマンジャック』『ウルトラジャック』の3つがあったそうです。この時にはまだ微修正出来たのかもしれません。

 もちろん「ウルトラセブン21」や「ULTRASEVEN X」といったセブン系列のウルトラ戦士や、「ゾフィー」や「アストラ」のような「ウルトラ」の付かないウルトラ戦士、「ウルトラウーマンベス」や「ウルトラウーマングリージョ」といった女性戦士のように、「ウルトラマン」名義のない戦士もいますが、圧倒的少数派です。

 こういった理由から、「ウルトラ」といえば「ウルトラマン」と思い込むのは無理らしからぬことでしょう。そう思い込むのに十分すぎるほど、「ウルトラマン」を冠した作品とウルトラ戦士は圧倒的多数なのです。

 もともと興味のないものの名前はうろ覚えで、間違えることが多いのはみなさんも経験されたことがあるでしょう。自分にとって重要なことも、他人にはそうでもないということです。

 そういった理由から何も知らない人が「ウルトラマンセブン」というのは仕方がないと思うのが大人というものでしょうか。もちろん、わざとネタにする場合はその限りではないと個人的には思います。

(加々美利治)

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