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昭和にあった「コレジャナイ」人気アニメのバッタもん 「後追い・類似企画」はなぜ減った?

マグミクス / 2024年4月20日 16時5分

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■「類似企画」減少の背景に「企業倒産」が?

 まだアニメや特撮が黎明期だった昭和時代には、何か大きなヒット作が出ると、続々とどこか似たような作品が登場するのが当たり前でした。『人造人間キカイダー』や『仮面ライダー』がヒットを飛ばせば、しばらくすると新たなバイクに乗り哀愁を帯びたヒーローが誕生していたものです。

 おもちゃの面でもまだ著作権の概念が浸透していなかったことから、町工場でどこか愛嬌を帯びた偽物「バッタもん」が量産され、子供たちの喜ぶ顔を見ようと親御さんたちが家に持ち帰っていた時代がありました。心づくしのお土産を子供たちが喜んだのか「これじゃない!」と叫んだのかは分かりませんが、どちらにせよ、いまとなってはできることなら戻りたい大切な記憶のひとつであるのは間違いないでしょう。

 むしろ、現在では「バッタもん」にも価値が見いだされるようになり、コレクターまで存在しているというのですから驚かされます。しかし正規品ならメーカーに資料が残っている可能性はありますが、「バッタもん」となると作った人間の記憶も怪しければ簡単に口も開いてくれないでしょうから、調査とコレクションは至難の道が待ち受けているでしょう。

 しかし、最近はこのような風景はまったく見られなくなりました。それはなぜでしょうか。
ひとつには、かつて数々の玩具ブームを起こしたメーカーが、すでにこの世にないことが挙げられます。

「ウルトラ」シリーズをスポンサードし怪獣ブームの立役者となった「ブルマァク」はオイルショックのあおりを受け倒産。『機動戦士ガンダム』のメインスポンサーだった「クローバー」はその後の作品が振るわずに『聖戦士ダンバイン』の放送中に倒産。『赤胴鈴之助』時代からキャラクターグッズを手掛けた玩具業界の先駆者である「タカトク」も1983年にスポンサードした『超時空世紀オーガス』、『イタダキマン』、『銀河疾風サスライガー』、『特装機兵ドルバック』がいずれも不調に終わり、倒産の憂き目を見ています。

 結果として、おもちゃ業界はほぼバンダイとタカラ(現:タカラトミー)に集約されることとなり、中小メーカーのスポンサードで何らかのコンテンツ企画を推し進める形での事業形式は、廃れていくこととなりました。

■現代のコンテンツはメディアミックス前提

マンガ原作のTVアニメ化で人気が爆発した『鬼滅の刃』は映画、舞台、ノベライズと数え切れないほどの展開をしている 画像は『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 女の子向けでは、近年でもアーケードのカードゲームで「プリティ」シリーズと「アイカツ」シリーズが激突した事例がありますが、ほかにはあまり見られません。

 この大きな理由としては、現代では一つひとつのコンテンツにおいてメディアミックスが行われるのが前提となっているためです。規模が大きいだけでなく、複数の企業で調整を行いながらTVアニメ、コミカライズ、ノベライズ、劇場アニメ、ライブなど膨大なクリエイターや演者が参加して互いにシナジー生み出しつつ、コンテンツそのものを大きくしていき、最大限の利益を狙うために関係者が全力を尽くす形となっているのです。

 成功すれば生み出される利益は膨大なものとなるため、権利関係を守るための監視も厳しくなっており、「バッタもん」が介在する余地はありません。厳密にいえば存在してはいますが、ネットオークションなどの販売ルートは絶えず監視されており、発見されればアカウントを停止される状況となっています。

 当然、多くのステークホルダーを集めた大規模な企画を立ち上げ、運営できる企業の数は限られています。コンテンツを世に送り出すために必要な時間や作業量も増えており、資金力や体力のある企業なら、後追いなどするよりも強力なコンテンツを自ら立ち上げ、レッドオーシャンに飛び込んで市場を丸ごともぎ取っていく方がはるかに効率よく利益を挙げることができるのです。

 後追い企画、類似企画というのは、小さな規模でも満足いく収益を得ることができた、権利関係に目くじらを立てる必要もそれほどなかった時代にのみ許された、あだ花のような存在だったのかもしれません。

(早川清一朗)

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