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『影の伝説』大人になって知った「おまけ」の敗北感! 延々とさらわれるお姫様の思い出

マグミクス / 2020年4月18日 9時50分

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■日本にゲーム文化が定着しはじめた時期の良作

 1986年4月18日にタイトーから発売されたファミコン用ソフト『影の伝説』は、忍者がさらわれたお姫様を救出に行くという少年の心を湧き立たせるストーリー。ですが、それとは裏腹の難易度の高さで、当時の子供たちを苦戦させました。悪戦苦闘のあげくお姫様を救出したにも関わらず、またすぐさらわれてしまいガックリした記憶を持つライターの早川清一朗さんが当時の記憶を語ります。

* * *

 1986年は、ちょうどファミコン雑誌の創刊が相次いだ時期と重なります。1985年に創刊された徳間書店の「ファミリーコンピュータMagazine」を皮切りに、「ファミコン通信」(現:ファミ通)「ファミコン必勝本」「マル勝ファミコン」の「4大ファミコン雑誌」が勢ぞろいしたのがこの年なのです。いま、このなかで残っているのは「ファミ通」のみ。34年の時の流れを感じます。

 しかしそれは、ファミコンが、すなわちゲームという文化が爆発的な人気を獲得し、定着しはじめた時期とも言えるのかもしれません。アーケードでも新声社の「ゲーメスト」がこの年に創刊されています。これは偶然ではないでしょう。

 そんな時代に発売されたファミコンカセットのひとつが、タイトーの『影の伝説』です。1985年にアーケードで発売されたタイトルの移植版で、主人公の忍者「影」を操り、ボスの「雪草妖四郎」率いる忍者軍団にさらわれた「霧姫」を救出するのが目的です。画面はマップによって縦と横にスクロールするアクションゲームでした。

 特徴的な和風のBGMを作曲したのは、小倉久氏。通称「OGR」として知られる、タイトーに所属するサウンドチーム「ZUNTATA」の初期メンバーです。他にも『ダライアス』シリーズや『ニンジャウォリアーズ』など、1980年代を代表するゲームミュージックを手掛けたレジェンドで、ZUNTATAのライブではキーボードを担当しています。現在はフリーのコンポーザー(作曲家・作家)として、オリジナルCDの発表やニコニコ動画に動画をアップするなどして活動しているようです。

■助けても助けてもまたさらわれる

Nintendo DS用ソフト『影之伝説 -THE LEGEND OF KAGE 2-』(タイトー)

 さて、『影の伝説』ですが、筆者は発売の1月前に『ハイドライド・スペシャル』を買ってもらっていたため、手に入れることはできませんでした。ファミコンのカセットはそう毎月毎月ねだれるようなものではなかったのです。

 それでもいろいろなゲームをやりたいファミコン少年たちは、積極的に友達を作り、カセットの貸し借りを行なっていました。『影の伝説』も、そのようにして借りてプレイしたタイトルのひとつなのです。

 借りてきたカセットをファミコンに差し込み、早速プレイを始めると、まずお姫様がさらわれるカットが入ります。「よーし、お姫様を助けるぞ!」と意気込む筆者でしたが、上や横から襲い来る敵の忍者にあっさりとやられてしまいます。当時のアクションゲームは敵に触れるとダメージを受けることが多く、最初そのつもりで戦っていたのですが、『影の伝説』は敵が繰り出した攻撃を受けると一発でやられてしまうタイプのゲームで、いつの間にかに手裏剣をくらってやられてしまっていたことに、しばらくしてから気づきました。

 どうすればいいのか最初は分からなかったのですが、剣で手裏剣をはじき返せることが分かり、多少先に進めるようにはなりました。しかし次に立ちはだかったのが、火を噴く妖坊です。このゲームはジャンプがとても大きい上に軌道を変えることができず、うかつに飛ぶと虚無僧の放つ火炎を喰らって何もできずに倒されることが多かった記憶があります。

 小学生には少し難しいゲームでしたが、それでも徐々に水晶玉や巻物といったパワーアップアイテムの使い方を覚え、徐々に先に進めるようになり、ついにお姫様を救出したのです。 そしてお姫様を連れて大ジャンプし逃げ出すのですが……。

 すぐに後ろから追っ手がやってきて、あっさりお姫様を取り戻されてしまいました。それでもめげずに何度も何度もプレイして、ようやくラスボスを倒し、これで終わったと思いきや、画面に突如として表示された「however」の文字……。今なら意味は分かりますが、小学生時代の筆者には分かりません。

 そう、何事もなかったかのように2周目に突入したのです。筆者はここで「クリアしたんだし、まあいっか」と思いカセットを返してしまいましたが、2周目クリアでおまけがあることを今さっき知りました。34年越しの敗北感を、改めてかみしめています。

(ライター 早川清一朗)

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