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手描きアニメの最高峰、OVA『ロードス島戦記』 食費を節約して購入した甲斐が!

マグミクス / 2020年5月19日 18時20分

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■毎月必死にお金を稼ぎ、購入にこぎつけたOVA『ロードス島戦記』

 1988年に刊行が開始された水野良氏の著作『ロードス島戦記』は、当時の日本では認知度が低かったファンタジー世界を広めた立役者として今なお根強い人気を誇っています。過去数回のアニメ化も果たしますが、なかでも1991年に発売が開始されたOVA版は主人公・パーンを声優の草尾毅さん、ヒロインのハイエルフ、永遠の乙女ディードリットを冬馬由美さんが担当し、13巻合計で55万本を売り上げるなど大きなインパクトを残しました。OVAの発売当時は高校生で、あの手この手でお金を稼いでどうにか13巻すべてを購入したライターの早川清一朗さんが、当時の記憶を語ります。

* * *

『ロードス島戦記』

 この作品は、日本のファンタジーやライトノベルについて語るとき、絶対に欠かすことができない特別な存在です。

 元々は雑誌『コンプティーク』にテーブルトークRPGのリプレイとして連載されていた作品を水野良氏が小説化し、まだライトノベルという言葉がなかったころから多くの人に圧倒的な支持を受け、日本にファンタジー世界の概念を根付かせる原動力となりました。2019年には最新作である『ロードス島戦記 誓約の宝冠1』も発売され、パーンやスパークたちの次の時代の物語が始動しています。令和の時代にも新しい『ロードス島戦記』が楽しめる。そして再びディードリットに会えることを感謝するほかありません。

『ロードス島戦記』はその人気の高さから、多くのメディアミックスが行われています。アニメ化も数回行われていますが、一番はじめに制作されたのが、1991年から発売された全13巻からなるOVA版です。

 当時の筆者は高校生で熱狂的な『ロードス島戦記』ファンでした。それでも最初にOVA版の発売を知ったとき、その値段の高さからさすがに諦めようとしたことを覚えています。高校生の小遣いでは到底手が届くような代物ではなかったのです。

 それでも購入特典として出渕裕氏描き下ろしディードリットのテレホンカードが付いてくることを知り、あきらめきれなかった筆者は、昼食代を節約し、こっそりアルバイトをするなどしてどうにかお金を貯め、OVAを購入し続けていました。今から考えると、若さゆえの情熱とは本当にすさまじいものです。

■手描きアニメの最高峰

著:水野良『ロードス島戦記 灰色の魔女』 ORIGINAL EDITION(KADOKAWA)

 そうして手に入れたOVA版『ロードス島戦記』は、それまで見ていたアニメとは一線を画す出来栄えでした。

 それまでは挿絵や文章を元に想像した世界でしかなかったファンタジー世界が、重厚さすら感じる絵柄で描かれており、さらにはキャラクターたちが実によく動いていたのです。第1話ではパーンたち主人公パーティとドラゴンとの戦いが描かれていましたが、人間とドラゴンのスケールにはこんなにも差があるのかと驚かされました。設定資料で何メートルくらいと書かれていても漠然としたイメージしか湧いてきませんが、アニメでは体長と容積が視覚化され、圧倒的な違いをはっきり見せてくれたのです。

 また、ファンタジー世界における細やかな描写、例えば剣でのモンスターとの戦い方、魔法の演出、城塞や村々、それに衣装などもOVA版『ロードス島』戦記での描写は今でも十分通用するレベルです。あるいは、本作が現代までつながるファンタジー描写の基礎となっているのかもしれません。

 そしてなんといっても惹かれたのが、ディードリットのかわいらしさです。小説の挿絵や表紙では、出渕裕氏の絵柄も相まって超然とした美しさを感じることが多かったのですが、アニメでは感情に応じてころころと表情を変えることが多く、誰よりも年上ですが若いキャラクターとしての魅力が前面に押し出されていたのがたまりませんでした。

 また、オリジナルの女性キャラとして登場したダークエルフのピロテースも、その褐色肌と当時のエルフ描写としては豊かな胸元、アシュラムに捧げる一途な恋心などの要因から人気を博しました。原作者の水野良氏も小説版に逆輸入するほど気に入っていたそうです。

 戦闘シーンも、英雄戦争でマーモ軍のゴブリン・コボルドに翻弄されるファリス軍の騎士や、敵を迎え撃ちながら味方を叱咤するカシュ―、マーモのベルドに大声で一騎打ちを呼びかけるファーン王など、多くの見どころがありました。

 小説が完結する前のアニメ化だったため一部のストーリーや結末などに違いはありますが、非常にハイレベルなアニメだったため、苦労して購入した甲斐はあったと当時の筆者は満足した覚えがあります。

 その後、数回アニメ化された『ロードス島戦記』ですが、筆者にとっては、OVA版が今でも至高の逸品として輝いています。

(ライター 早川清一朗)

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