高橋名人に憧れる子供が熱狂した『スターソルジャー』 キャラバンには凄腕が集結
マグミクス / 2020年6月13日 17時10分
■「キャラバン」に行けなかった苦い思い出
1986年6月13日にハドソンから発売されたファミコンソフト『スターソルジャー』は、発売前から「コロコロコミック」で宣伝が行われ、高橋名人に憧れる当時の子供たちを熱狂させていました。また、夏に開催された「第2回全国キャラバン」では超人的な連射力を持つ凄腕のプレイヤーが続々と登場し、彼らは軍団と呼ばれて大会を席巻しました。どうあがいても自力では13連射しかできなかったライターの早川清一朗さんが、当時を回想します。
* * *
1985年の夏にファミコンで発売されたシューティングゲーム『スターフォース』は、「コロコロコミック」での特集とカリスマ・高橋名人の登場、そして夏に開催された全国大会「キャラバン」により、子供たちのなかで、特別な存在となっていました。
その翌年に発売されたのが『スターソルジャー』です。第2回キャラバンの使用ソフトとして、やはり「コロコロコミック」で大々的に特集が組まれ、筆者を含めた子供たちは、発売を待ち望んでいたのです。
ただ、筆者はキャラバンには参加していません。まだ小さかった筆者はひとりで会場へは行けないので親の同行が必要だったのですが、許しを得られず、他の子が参加すると言うのをうらやましげに聞くことしかできませんでした。
それに当時の筆者は自力では13連射くらいしかできませんでした。連射速度で腕前が決まるというわけでもありませんが、高橋名人の16連射を神聖視していた筆者は、「この程度じゃダメに決まっている」と自分を無理やり納得させていた記憶があります。
それでも友達が出るというので練習への付き合いがてら『スターソルジャー』をプレイさせてもらったのですが、ラザロという合体までに撃破するとボーナスがもらえる敵を倒そうとすると8割がたやられてしまっていたので、やはり腕前も連射速度も足りなかったようです。
■凄腕のプレイヤー集団「軍団」
『スターソルジャー』(写真提供:たまじぃ☆ミssdc68k)
そんな筆者にとって、「コロコロコミック」に掲載される『スターソルジャー』とキャラバンの特集を見るのは、何よりの楽しみでした。現代のようにインターネットがあれば刻一刻と進展していく状況をリアルタイムで知ることもできたのでしょうが、田舎に住んでいた筆者にとって、当時は月1回掲載される記事だけが情報源でした。都心住まいの方のなかには、会場にしばしば足を運んで状況をチェックしていた方もいたようで、本当にうらやましく思います。
キャラバンの写真や記事を「ああ、自分も出てみたいなあ」と羨望交じりに眺めていた筆者でしたが、既にこの頃の連射速度はすさまじいレベルに達しており、高橋名人の16連射を超える、18連射や20連射を叩き出す凄腕プレイヤーたちが続々と登場していました。グループを作って研究を行い、キャラバンを席巻していたプレイヤーたちは「軍団」として紹介されており、「こんなすごい人たちがいるんだ!」と驚いたのをよく覚えています。
最強ランクのプレイヤーの連射速度は最高で秒間25連射にまで達していたのですが、その原動力となったのがハドソンから発売されていたコントローラー「ハドソンスティック」と、「こすり打ち」です。こすり打ちとは文字通り爪などでボタンをこすり連射速度を高める技法です。筆者も試してみたのですが、すぐに爪を痛めてしまったので仕方なしに指と腕を痙攣させる「痙攣撃ち」をメインにしていました。
ただ、軍団の実力はあまりにも高すぎたため大会の上位入賞者が固定されてしまったのが問題視され、翌年のキャラバンからは連射機能付きコントローラーの使用が解禁されたため、『スターソルジャー』は連射ヒーローが活躍できた最後のタイトルともなりました。
あれから30年以上の時間が経過しましたが、今でも『スターソルジャー』のリアルタイムアタックに挑戦し続けている方々が存在しています。当時は不可能とされており、あさいもとゆき先生のマンガ『ファミコンロッキー』では100万点のボーナスが設定されていたデライラの3つ同時撃破ですらも達成され、実際には8万点ボーナスが2回であることも解明されています。
一体どんな人たちが挑戦しているのかまでは分かりませんが、1986年の夏に情熱を捧げていた人たちだったらいいな、と思う気持ちが筆者のなかに残ってしまっているのは、当時参加できなかった人間の嫉妬なのか、それとも憧れなのか、いまひとつ、自分でも判断がつきません。
(早川清一朗)
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