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2003年の『シャーマンキング』ゲームで作者が描いた、原作と異なる「結末」の意味は?

マグミクス / 2020年7月25日 9時10分

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■原作マンガにもなかった「結末」

 新作アニメプロジェクトの始動など、今後の展開に大きな注目が集まっている「シャーマンキング」ですが、筆者はこれを機会に2003年に発売されたゲームキューブ用ソフト『シャーマンキング ソウルファイト」をプレイ。前回の記事では、ラスボス・ハオが倒せない! と嘆いていた筆者ですが、どうにかクリアすることができました。

 内容について触れていきたいと思いますが、そこで見たエンディングは想定外のものでした……。なお、レトロゲーム機用の17年前のゲームなので、今さらネタバレされて困るということもないでしょうが、ここから先はエンディングの内容が書かれていますので、ご注意下さい。

 ゲームのシナリオは「原作のまとめ」として進んでいたのでラストも同じかと思いきや、無事にハオを倒した葉たちを待っていたのは、原作とも違うオリジナルの展開でした。なんと、ハオはシャーマンキングの座を葉に譲ってしまうのです!

 ハオは、地球を破滅に導く人類を抹殺し、シャーマンだけの世界「シャーマンキングダム」を創る野望を持っていました。人類は自分のことしか見えていないので、地球を滅びの道に向かわせている自分たちの行いすら理解できていない。霊が見え自然と対話できるシャーマンだけが地球と共存できる……という主張です。

 その極端な考え方を、葉たちは「まるで子供が理解者(友達)不在でひねくれてしまい、自分の殻に引き籠もって気持ちをこじらせてしまったようだ」ととらえ、そこから救い出そうとします。それが当時話題になった、幽閉されたお姫様「プリンセス・ハオ」の表現につながっています。

 原作では、ハオを救い出した葉はその後、人間を信じる立場を取って争いをなくすために世界を駆け回る一方、無限の時間を得たハオはグレートスピリッツのなかでしばしそれを見守る……という展開ですが、ゲームシナリオでは、ハオは葉の行動の結果を500年後に判断すると宣言し、さっさと転生してしまいます。

 その時に人間たちが変わっていなければ、今度こそ滅ぼしてやるというわけです。残された葉たちは、仲間や子孫の理解・協力を得て未来を作り上げていこうと、決意を新たにして終わります。

■「書き下ろし」は作者にとってのテストでもあった?

完結版32巻(左)とJC版32巻(右)との表紙。完結版32巻では「プリンセス・ハオ」が描かれ、続刊の表紙に何が描かれるのかも気になるところ

 こうして見ると、原作・ゲームともに主張が一貫しているものの、立場が違うことがわかります。これらのことから想像できるのは、もしかしたら武井先生は、原作のラストの構想を一度ここで試してみたのかもしれない……ということです。連載中だった当時はいつになったら最終回を迎えるかわからない状態ですから、その内容が明確に決まっていなかった可能性があります。

 そんななかでゲーム版では、思考整理の場としてもファンの反応を見る場としても良い機会だったのではないだろうか……そう筆者は考えます。

 その後、実際に原作で続編が描かれてみると、シャーマンキングという存在は決して万能ではないことがわかります。大きな力は持っていても人の心を突然180度変えてしまうとか、地球を恐竜時代に戻すなんてことはできそうにありません。長い時間をかけて歴史が刻まれるなかで、ただ自然に任せるよりは自分の望む方向に変化させやすい……そのぐらいのように見受けられます。

 それが武井先生の理念だったのであれば、ゲーム版のラストよりは現状の方がそれをより上手く表現できているようにも思え、もしかしたらゲームの存在がそれを導いてくれたのかもしれません。

 話は変わりますが、2020年6月から毎月刊行されている紙版コミックス、みなさんはもうご覧になりましたか? 大幅重版がかかるほどの人気ということで、筆者にとっても嬉しい限りです。新旧イラストを掲載したWカバーというのも楽しい試みですね! 実は旧版イラストの表紙は、当時とまったく同じではありません。両方持っている方はいろいろと違いを探してみるのも楽しそうです。

 そういえば、裏表紙にバーコードや価格表記もありません。これは、通常書店で行うシュリンク作業(ビニールでパックする作業)を出版社側が出荷状態で行っているからできることだそうで、書店の負担軽減と、本を綺麗に見せたいという想いからだと聞きました。また、よく見ると裏表紙のビニールには破線があって破りやすくなっています。嬉しい心遣いですね。

 ところでふと思ったのですが、これ32巻以降はどうするんでしょうね……。元イラストを掲載していたJC版は32巻で終わりですが、物語はまだ先があります。とすると「完結版」のカバーイラストを今のタッチで描きおろすのでしょうか?
 
 旧版の32巻と完結版32巻も表紙が違いますね。旧版は全員集合、完結版はプリンセス・ハオです。これもどうなるのでしょう? 発売はまだ先の話ですが、気になる&期待が膨らみます!

 それでは今回はこの辺で。今後も「シャーマンキング」に関する楽しい情報をお届けしたいと思います!

(タシロハヤト)

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