【声優・本多真梨子のマンガ愛】続話が待ち遠しい！ 謎と伏線だらけのサバイバルミステリー

■入学したら最後、卒業まで逃げられない命懸けの試練！

　皆さんは、学費免除、卒業するだけで地位と名誉を約束される学校があったら……入学しますか？

　……何それコワイって思いません？（笑）

　でも、主人公は入学しちゃうんだなぁ……これが（笑）。

　今回ご紹介するマンガは、宮条カルナ先生の『アホリズム』。タイトルに「アホ」って付いてるから、私最初ギャグ作品なのかと勘違い！（笑）「aphorism(アホリズム)」は日本語で「警句や格言」という意味だそうで、このマンガに大いに関わりのあるタイトルになってます。

「楢鹿(ならか)高等学校」。

　この学校は、卒業するだけで地位と名誉を手にすることができる。入学条件はただひとつ、「空に島が見える」こと。それさえクリアしていれば、学費は全て免除で入学できるという。

　何も知らない田舎育ちの主人公、六道黄葉（ろくどう もみじ）は、この楢鹿高等学校に入学してしまう。教室で渡される1枚の紙。ここに、自分に必要な漢字を一文字書けと言われる。何のことか全く分からないまま「変」という文字を書いた六道黄葉。その直後、「神蝕(しんしょく)」と呼ばれる試練が生徒たちに降りかかる。

　突如現れたたくさんの化け物。いとも簡単に殺されていく同級生たち。ここから、六道黄葉、そしてこの学校の生徒たちの、生き残りをかけた…不条理で残酷な物語が始まる……という物語です。

『アホリズム』第1巻（スクウェア・エニックス）

　この作品は「言葉」に色々なヒントが隠されています。まず、楢鹿（ならか）高等学校という名前。インドで「ナラカ」は「地獄」を意味する言葉なんです。言い換えると「地獄高等学校」。わー、はよ家に帰りたい。まぁ、帰れないんですけどね。

　そんな学校で、文字の力を使って神蝕の試練と戦っていくんですが、冒頭でお話したタイトルの「アホリズム」の意味は、この「文字」に絡めているのかなと思います。各話のタイトルも「序」「始」など1文字で表現されているので。その他にもたくさんの謎が隠されていて、ミステリー要素の高い作品だと思います！ ジャンルとしては、学園サバイバルミステリーかな。あ、ホラー要素も強いです。

　本編はどシリアスに進んでいきます。たまにホッコリするシーンもありますが……基本は、死と隣り合わせの展開。そんな殺伐とした『アホリズム』の世界で、本多がオススメしたいポイントが3つあります！！！

　ひとつ目！「あほりずむ的蛇足講座」。

　本編の空気はあまりに重いのですが、「蛇足講座」はゆるっとした空気感。蛇足講座なのに、ためになっているのかわからない情報、そして主人公たちが園児！かわいい！！ というおまけマンガが、要所要所に入っています！

　ふたつ目！「5巻の番外編」。

『アホリズム』は黄葉の所属する1組がメインの作品なので、他のクラスはそこまで出番がないんです。2組、3組が数人出てきて、4組はたくさん出てくる話もあるのですが、5組だけは一度も登場がなく……あ、そういえばこの学校5組まであったじゃん、と。

　そんな5組の真実が………笑っちゃいけないけど、面白くて。可愛そうで、とにかく読みながらずっとその悲劇に笑い堪えていました。1組も5組も変わらず神蝕が起こって大パニックなのに、この違いは何なの？ という、別の意味での5組の運の無さ……。がんばれ、5組！！

　最後、3つ目！「黄葉(大)の存在」。

　ネタバレになってしまいますが、主人公の黄葉くんは窮地に陥った時に、高身長の黒髪爽やかイケメンに変わります。この名前の分からないイケメンさん（物語の後半で名前が明らかになります）、はちゃめちゃに強いんですよ！！ 彼が出たら、全ての盤面をひっくり返せるぐらい強いので、この人が出るとテンション上がります！

　ということで、この作品の本多的オススメポイントでした！　そして……ここで大事なお知らせが。

『アホリズム』は、第壱部「完」のまま、続きは発表されていません。すごく面白い展開のところでストップしているので、本当に気になってしまう……。皆さんで続きを妄想して楽しみましょー！

　スクウェア・エニックス刊、宮条カルナ著『アホリズム』。

　漢字一字で戦う学園サバイバルミステリー！ ドキドキハラハラするマンガです。ぜひ読んでみてください！

（本多真梨子）