【漫画】仕事がつらい新社会人、ホームから飛び込もうとしたら「タヌキにならねーか？」

■作品に込められたエールに「癒やされた」「ささった」

　居場所がなかった学生時代を終え、新社会人となった男性は、「やっと変われる」と新しい日々に期待をふくらませていました。しかし数か月後、男性は思いつめた表情で駅のホームにたたずんでいました。電車が通過する直前、彼の隣にタヌキが現れ、「タヌキにならねーか？」と言い……。

　時に人間の姿になるタヌキが人間を救うマンガ「タヌキシリーズ」をTwitterで連載中の奈川トモさん（@nagawatomo）が、新作『死のうとしたらタヌキにスカウトされた新社会人』を公開しました。新社会人の男性が思い悩み、変わろうとする物語に、読者から「素敵なお話」「癒やされた」「ささった」「自分らしく生きることについて考えさせられた」「私もタヌキさんに会いたい」などの声があがりました。

　作者の奈川トモさんに、お話を聞きました。

ーー『死のうとしたらタヌキにスカウトされた新社会人』のお話はどのようにして生まれましたか？

　変わりたくても変われない、何度も失敗して自分の価値を諦めてしまったり、今も苦しんでいる方に向けて、励みになるものが描けたらなぁと思ったのがきっかけだったと思います。

ーー今回は新社会人の男性が主人公ですが、この時期仕事を始めたばかりの新社会人に向けて、どのようなことを伝えたいですか？

　新社会人の皆様、ご就職おめでとうございます。この希望あふれる時期にこのような内容のものをお届けして良いものか、正直ちょっと迷いました。

　私自身はいろいろあって仕事をすぐ辞めてしまった時期と、根性で続けた時期とあるのですが、どちらの道を選んでも「もっと頑張れたのでは……」「もっと早く辞めれば良かった」という思いが残りました。今思えば、似たような業種でも共に働く人が違うだけで仕事のモチベーションが違ったりしますし、もし勤めた先でうまくいかなくても、必要以上に自分を責めたりする必要はないよと言いたいです。

　健康に生きていたって人生は案外短いものだと思うので、全力投球できる貴重な時間をどうにもならない悩みで傷ついて埋めていくよりは、どんどん次へ向かっていくのをお勧めします。心から気を許せる友人やパートナーがひとりでも見つかったら、とんでもない幸運なことであるのと同じように、しっくりくる居場所もたくさんの幸運に恵まれて奇跡的に見つかるものだと思います。

　自分の居場所を見つけるのに早すぎるも遅すぎるもないので、思いつめることなく柔軟な心でこれからを見極めていってください。

ーーたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

　基本的に私の作品はどれも言葉で説明し切らない部分がとても多くて、今回も例にもれず、こがね丸の少ない語彙力で新社会人くんにエールを送りました。

　意図したものではありますが、不親切な内容にもかかわらず、こがね丸の言わんとしていることを読み解いてくださった方も多くてうれしく思いました。毎回、読者さんの読解力の高さに感服すると同時に助けられているなと感じています。

単行本『お前、タヌキにならねーか？』1巻が2021年5月1日に発売予定（一迅社）

ーー「タヌキシリーズ」の単行本『お前、タヌキにならねーか？』1巻が2021年5月1日に発売予定です。収録内容や見どころなどをご紹介いただけますか？

　この場を使って紹介させていただけるなんてありがとうございます……！　1巻の内容は、すでに公開されている12話までの作品を収録しています。この作品自体なるべく簡潔に読めることをテーマにしていたため、ページの都合で泣く泣くカットしていた内容や、補足したいキャラクターたちの関係性などを9つのショートストーリーにして描き下ろしました。「その後はどうなったの！？　続きが気になる……！」というお言葉に多少なりともお応えできる内容になっているかと思います。

ーーマンガやその他で、今後の活動のご予定や、挑戦してみたいことなどについて教えて下さい。

　2021年4月28日から「comicPOOL」にて『お前、タヌキにならねーか？』の連載スタートを予定しています。こちらでも改めて楽しんでいただけたらうれしいです。

　また、「タヌキのグッズやLINEスタンプが欲しい」というお声もいただいているので、何か作れたら良いなと思っています。こんなの欲しい！　というものがありましたらお気軽にコメントください！

（マグミクス編集部）