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『WRC10』は「上手くなる歓び」を堪能できる、本物志向のラリーレーシングゲーム

マグミクス / 2021年11月11日 12時10分

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■WRCの「雰囲気」ではなく「リアル」を味わえるゲーム

 公道を舞台としたモータースポーツ「WRC」(世界ラリー選手権)公認のレースゲーム『WRC10 FIA世界ラリー選手権』が、2021年10月28日よりPlayStation4/PlayStation 5向けに発売されています。WRC開催50周年を記念し、伝説の名車や著名レース、日本で開催予定のコースなど盛りだくさんの内容を収録。ラリー競技の頂点をリアルに体感できる作品です。

 そこで今回は、ラリー競技への参戦経験もある自動車研究家の山本シンヤさんに『WRC10』をプレイしていただき、同作の面白さやラリー競技の再現度などについて解説してもらいます。山本さんは、WRCに参戦しているラリーカーへの乗車経験もある、数少ない日本人ジャーナリストのひとりです。

* * *

 モータースポーツのカテゴリーのひとつ「ラリー」の特徴は、「一般公道」を用いて、「市販車」がベースのマシンで、1台ずつ走って「タイム」を競い合います。その最高峰ともいえるWRCは1973年に創設され、世界各国のターマック(舗装路)、グラベル(非舗装路)、スノー(積雪路)などさまざまなコンディションの道で開催されます。すでに40年以上の歴史を持ち、欧州や南米ではF1にも勝るとも劣らない人気を集めています。

 日本でも1990年代に国内メーカーがこぞって参戦したことで人気が高まり、2004~2010年には日本でもWRCが開催されましたが、景気後退などを理由に日本メーカーが撤退し、人気は鎮静化……。しかし、2017年にトヨタが21年ぶりに復帰したことで人気が再燃しています。新型コロナウイルスの影響で二度の開催中止を経験しましたが、来年2022年にWRCの国内開催(11月10~13日)も決定しています。

 そんな状況のなか発売された『WRC10』は、WRCを主催しているFIA(国際自動車連盟)より公式ライセンスを受けたラリーゲームの10作目となります。

 これまでもさまざまなラリーゲームが発売され、筆者(山本シンヤ)も色々体験をしてきましたが、どちらかというと「ラリーの雰囲気を味わう」というゲームが多い傾向でした。一方『WRC10』は「リアル」にこだわっている作品です。登場するチームやマシンはもちろんのこと、走行するラリーのステージも全て正真正銘の本物。つまり、WRCの2021シーズンで使われる全てのステージを、上位カテゴリーから下位カテゴリーまで52の最新チームから選択して走行できるのです。

 ただ、そうは言っても「実際に試してみないと……ね」というのが筆者の本音ですので、発売元の協力をいただき、実際に「試走」させてもらいました。

■リアルなクルマの挙動、正確な運転操作が必要に

筆者が『WRC10』をプレイする際に、ステアリングコントローラーとシミュレーターコクピットを使用。路面状態に応じて、ハンドルにリアルな振動が伝わってくる(マグミクス編集部撮影)

 参考までに、筆者はプロのゲーマーではなく、リアルな自動車の評論を行う自動車ジャーナリストです。リアルなラリーにも参戦歴があり、WRCに参戦する競技車「ヤリスWRC」にも乗ったことがあります(もちろん助手席ですが)。

 編集部からの注文は「本当にリアルなんですか?」ということで、ステアリングコントローラーはThrustmasterのハイエンドモデル「T-GT」、シミュレーターコクピットはNext Level Racingの「GTultimate V2」と、レーシングゲームをプレイするには最高の環境を整えたうえでの試走となりました。

『WRC10』は、前作同様にラリーチームを経営しながらマシンやドライバー、クルーを強化してWRCの最高陣を目指す「キャリアモード」や、基礎的な練習を行う「トレーニングモード」、好きな設定でラリーができる「クイックモード」に加え、往年のラリーカーでラリーの歴史を語る上で欠かせない伝説のイベントが再現された「50周年記念モード」が追加されています。

 全て試してみたいところですが、時間がいくらあっても足りないので今回は「クイックモード」を中心に試してみました。マシンは「ヤリスWRC」、コースは2021年に予定されていながら中止となった「ラリージャパン」で使われるはずだったSS(スペシャルステージ)を使用しました。

 一般的なラリーゲームは、実際のラリーではありえない道幅の広いコースを、ありえないスピードでドリフトさせながら走る、ある意味「爽快系」なゲームがほとんどですが、『WRC10』はリアルなコースで、1台がやっと通れるような幅の道を、競技スピード(時速100~200km近くまで)で走るわけですから、針の穴を通すような正確な操作が要求されます。

■思い通りに走れた時の達成感は至高

『WRC10』は、日本語音声で助手席のナビゲーションを聞きながらプレイできる。実際のラリー競技におけるコ・ドライバーのありがたさを実感できる

 正直言うと、慣れるまでは苦戦するので、最初はキャリアモードでシッカリ練習してから挑んだほうがいいでしょう。しかし、慣れてくるとマシンの挙動のリアルさに驚くとともに面白さが増してきます。本物のコースと同じく路面のμ(ミュー;摩擦係数)は低いので、雑にステアリングを切れば滑る、雑にアクセル/ブレーキ操作をすればマシンは暴れるのです。

 本物のクルマと同じように素早く、正確に、ていねいに走らせないと思い通りにはコントロールできません。しかし、その操作がバッチリ決まるとマシンは手足のように操ることができるので、実際にやり込んで上達した時の歓びは、もしかしたら他のゲームよりも高いかもしれません。

 本物のラリー競技では助手席に「コ・ドライバー」が座り、事前にコースの状況を記録したペースノートを読み上げるのですが、それもゲームで再現されています。プレイ中に次のカーブの曲率と速度を音声で指示してくれますが、『WRC10』では待望となる「日本語音声化」が実現しています。本来の使い方ではありませんが。初めて走るコースをコ・ドライバーの情報をもとにトライしてみると、耳から入る情報で判断できるので、そこそこのペースで走らせることができました。

 WRCはドライバーが注目されがちですが、実際に試してみてコ・ドライバーの重要性を再確認できます。『WRC10』ではオンラインでドライバーとコ・ドライバーに分かれて、他のプレイヤーとラリーに挑むモードも用意されているので、本物のラリーさながらの戦い方もできます。

 そろそろ結論に行きましょう。ひとことで言うと「難しいけどハマる」だと思います。操作はかなり難しいですが、思い通りに走れた時の達成感は非常に高いです。逆を言えば、ラリードライバーの凄さがより実感できるので、WRCがもっと好きなるはずです。

 2022年のWRC「ラリージャパン」まで1年ありますが、それまで『WRC10』で気持ちを盛り上げてください。それくらい楽しめるゲームだと思っています。

※『WRC10 FIA世界ラリー選手権』は、税込価格7480円。音声、テキストともに日本語/英語対応。、PlayStation5版、PlayStation4版それぞれに向けて発売中。追加車種や追加コースなどの有料ダウンロードコンテンツも用意されています。

(山本シンヤ)

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