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『キングダム』因縁がありすぎる信とホウ煖の戦いを振り返る 決着が対照的で感動的

マグミクス / 2022年6月11日 20時10分

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■「我武神」と名乗るにふさわしい男

 数多くの英雄・英傑が登場するマンガ『キングダム』のなかでも、最強クラスに位置するのが、趙三大天のひとりホウ煖(ほうけん)です。本編の開始前にはかつての六大将軍のひとり・摎(きょう)を討ち、横槍が入ったとはいえ王騎(おうき)を倒し、さらにヒョウ公(ひょうこう)をも亡き者にした武力の持ち主で、自らが名乗る通り「武神」と評するにふさわしい存在と言えるでしょう。

 ホウ煖が初めて登場したのは、コミックス11巻の第115話です。その少し前、第113話では王騎と昌文君の間で摎が討たれた馬陽の地での因縁がわずかに語られており、ただ者ではないことは明らかにされていました。

 その後、ただひとりで秦軍10万のなかに現れて摎を討った際の回想シーンが挟まれ、ホウ煖が軍を率いる武将ではなく、求道者と呼ばれる、ただひとりで武の極致を目指す存在であることが明らかになったのです。

 その後しばらくホウ煖の出番はありませんでしたが、コミックス13巻の137話でただひとり秦軍の中に現れ、殺戮の限りを尽くします。主人公である信の部隊・飛信隊もその犠牲となり、天の災いのごとき圧倒的な暴力の前にろくに抵抗もできないまま、次々と身体を両断されて行きました。

 遅れて駆け付けた信はホウ煖に斬りかかりますが歯が立たず、羌カイ(きょうかい)が加勢しても形勢不利のまま。羌カイが巫舞を用いて手傷を負わせるものの決定打とはならず、信は生き残りを連れて脱出を図ります。このとき折よく到着した干央軍長の軍がホウ煖に矢を浴びせますが、ホウ煖は死体を矛に引っ掛け回転させて矢を受け切るという人間離れした技でしのぎ切りました。

 ここで信は干央がホウ煖に向け全軍をけしかけて生じた混乱をついて、ホウ煖に一刀を浴びせますが、反撃を受けて気を失ってしまいました。その後、飛信隊のメンバーが命がけで救出し、かろうじて脱出に成功しますが、尾到(びとう)をはじめ、さらに多くの兵を失うこととなったのです。

 その後、馬陽戦で李牧(りぼく)の策にはまった王騎は、中華十弓のひとり・魏加(ぎか)の不意の一矢もあり、ホウ煖との一騎打ちで重傷を負って、信に矛を託した後に命を落としました。こうして信とホウ煖の間には、どちらかが死ぬまで終わることの無い因縁が生まれてしまったのです。

■対照的だった信とホウ煖

 次に秦軍がホウ煖と相まみえたのは、合従軍編のクライマックスとなるサイ(くさかんむりに最)の戦いでした。李牧率いる合従軍別動隊に追いついたヒョウ公軍と飛信隊でしたが、李牧が用いた「流動」という戦術に引っかかり、分断されてしまいます。軍をズタズタに引き裂かれながらも、李牧の元にたどり着いたヒョウ公。しかし、そこで現れたのがホウ煖でした。ヒョウ公は善戦するもののホウ煖を倒すことはできず、盾を形見として信に投げ渡すと、命と引き換えにホウ煖の腕一本をへし折ったのです。

 国王の政も参戦したサイの防衛戦では山の民の援軍もあり、秦軍がギリギリのところで優勢となりますが、ここでホウ煖が登場し山の民の長・楊端和(ようたんわ)を討とうとします。そこに信が割って入り、一騎打ちが実現したのです。馬陽での邂逅以来、はるかに大きく、強くなった信でしたが、今回は羌カイがいません。それでも愛馬と共に突撃した信はホウ煖を馬上から引きずりおろし、大きなダメージを受けながらも片腕しか使えないホウ煖の矛を弾き飛ばし、剣を突きこみ、顔面を切り裂き深手を負わせることに成功。ホウ煖も信の力を認め、名を尋ねるに至りました。

 そして、信(この時点では李信)とホウ煖の決着が付いたのは、コミックス58巻、趙国・朱海平原での戦いとなりました。激闘の末についに李牧の本陣を眼前に捉えた飛信隊でしたが、不意に現れたホウ煖により、先陣を切っていた古株の去亥(きょがい)が戦死を遂げます。さらにホウ煖は咆哮だけで飛信隊の動きを止めると、それでも挑みかかってくる飛信隊の隊員を次々と惨殺していきました。さらに犠牲が増えそうなとき、羌カイがたどり着き、以前よりも遥かに力を増した巫舞で指を切り飛ばすなど傷を負わせましたが最後には敗れ、気を失ってしまいます。

 ここでようやく到着した信は、ホウ煖に殺された大事な人たちのことを思い出し、叫び声をあげるのです。遂に始まった最後の死闘はかろうじて信の勝利に終わりますが、限界を超えて戦った信自身も一度は冥界の門をくぐりかける事態に。しかし、羌カイの命がけの行動により、生還を果たします。

 ただひとり武を追い求めたホウ煖と、仲間とともに戦い抜いてきた信。ふたりの生きざまが生死を分ける形となった、印象深いシーンでした。

 ちなみに、史実でのホウ煖は武人としても優れているものの、弁論にも長けた軍事思想家・哲学者として高い評価を得ていたことが記録に残っています。『キングダム』のホウ煖とは明らかに違う存在ではありますが、秦の王翦(おうせん)将軍が直接対決を避けるなど、戦上手だったことは間違いないようです。

(早川清一朗)

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