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「立法府の役目全うして」 民間人空襲被害者が救済訴え 東京で集会

毎日新聞 / 2025年1月24日 18時25分

開幕した通常国会で、民間人空襲被害者救済法の成立を求める、全国空襲被害者連絡協議会共同代表の吉田由美子さん(左)=東京都千代田区の有楽町駅前で2025年1月24日、栗原俊雄撮影

 第二次世界大戦下の戦禍で国に救済を求めている「全国空襲被害者連絡協議会」が24日、JR有楽町駅前(東京都千代田区)で街頭集会を開いた。支援する超党派の国会議員連盟が救済法案の成立を目指しており、この日開幕した通常国会での実現を訴えた。

 約50人が参加。1945年3月10日の米軍による東京大空襲で、両親と生後3カ月の妹を奪われた吉田由美子・同会共同代表(83)は「(戦後)80年の節目だからこそ、法案が提出され成立するラストチャンスと思い期待しています。国会議員の皆さん、立法府としての役目を全うしてください」と訴えた。

 母と弟2人を亡くした河合節子さん(85)は「(国は)民間人がいくら殺されようと責任がないという態度をとり続けています。皆さんの将来に関わっています。これからもそういう態度をとり続けるかもしれません。要求している内容はささやかですが、政府がなにがしか責任をとったという形ができれば、将来皆さんが同じ目にあわない足がかりになると思います」と訴えた。

 母と弟が亡くなった鈴木正信さん(83)は「私たちの戦争は終わっていない。いまだに官尊民卑が続いている。空襲被害者は今のままではモノ扱い」などと話した。

 同駅かいわいは同年1月27日、米軍の空襲で500人以上が亡くなった場所で、行き交う人たちが被害者らの訴えに耳を傾けた。

 会は国に賠償を求めて裁判を闘っていた原告らが2010年に結成。現在の会員は東京や千葉、茨城、静岡、愛知、大阪など約500人。救済法の議員立法を目指す国会議員連盟(会長=自民党、平沢勝栄衆院議員)と運動を続けている。

 法案の主な柱は、空襲や沖縄戦などで身体や精神に障がいを負った人らのうち、法施行時点の生存者に1人50万円を支給するもの。野党は積極的だが、与党の自民・公明の同意が得られず国会提出に至っていない。議連幹部は首相就任前の石破茂氏にも協力を要請。前向きだったという。幹部は「戦後80年の節目。成立させられなかったら末代まで汚名を残す」と話している。

 米軍の日本無差別爆撃ではおよそ50万人が犠牲に。日本政府は1952年に発効したサンフランシスコ講和条約で米国などに対する補償請求権を放棄したため、空襲被害者が米国に補償を求めることは事実上できない。

 政府は戦後、元軍人や軍属と遺族らに累計約60兆円を支給してきたが、民間人には拒んでいる。東京や大阪、名古屋などの被害者らが国に補償を求めて提訴したが、2014年までにすべて最高裁で敗訴が確定。立法による解決をうながした判決があることから、同会が活動を続けている。【栗原俊雄】

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