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【プベルル酸】専門家の見解「毒性が強いと言い切るのは難しい」マウス5匹中4匹死んだ...論文は「マラリア感染させたマウスでの実験」小林製薬の紅麹問題

MBSニュース / 2024年4月1日 17時55分

 小林製薬の紅麹成分を含むサプリメントを摂取し健康被害が相次いでいる問題で、想定外の物質の可能性として注目される「プベルル酸」。厚生労働省は「非常に毒性が強い」としています。 一方で、機能性食品の研究に取り組んでいる東京工科大学の今井伸二郎名誉教授は、毒性の根拠とされる“マウス5匹中4匹が死んだ”というデータが“マラリアに感染させたマウス”の実験であることから、「マウスが死んだ原因がプベルル酸だけによるとは限らない。このデータだけ見てプベルル酸が毒性が強いと言い切るのは難しいのではないか」と話します。そしてプベルル酸自体の毒性を調べる実験は数か月かかり、別の何かと組み合わさった反応を調べるにはさらに時間がかかる、と解説します。◎今井伸二郎:東京工科大学名誉教授 著書に「機能性食品学」 免疫疾患などを予防する機能性食品を研究(2024年4月1日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

「青カビの一種が生成する天然化合物」

――3月29日、同日に会見した小林製薬と厚生労働省。小林製薬は「外部からカビが混入した可能性をゼロではない」と述べ、厚生労働省は、サプリメントから「プベルル酸」という想定外の物質を検出したと、具体的な名前が出てきました。プベルル酸について厚労省は、「青カビの一種が生成する天然化合物」と説明したのですが、東京工科大学名誉教授の今井伸二郎さん、天然化合物というのはどういうものでしょうか。

 天然化合物に対する言葉は「合成物」となります。つまり、人為的に作られたものではなく、自然に発生したもの、自然に生まれたものが天然化合物の定義になります。元々、紅麹はカビの仲間なんですが、発酵生産してる最中に、プベルル酸を産生するカビが汚染してしまって、その結果として生み出されたものではないか、と考えられるわけです。もちろんそれを小林製薬が確認しているわけではないんですけれども。

――プベルル酸を検出ということは、外部から異物が入ったと言い切っていいんですか。

(東京工科大学 今井伸二郎名誉教授)そうです。ただもしかすると紅麹が作っていたのかもしれませんけれども、可能性としては、プベルル酸を産生するカビが汚染したっていう可能性が高いと、私は思います。

『健康被害の原因、プベルル酸とは言えないのではないか』の見解

――プベルル酸は、マラリア原虫を殺す性質があるということも厚労省は述べています。

(東京工科大学 今井伸二郎名誉教授)元々プベルル酸が見つかった経緯は、マラリアに対する薬を探す過程において見つかってきたもので、ただ実際に調べてみると、比較的毒性が強いので、マラリアの薬にするにはやっぱり問題があるということで、開発されなかった経緯のある成分です。

――健康被害とプベルル酸の因果関係は現時点でまだわかっていません。今井先生は『健康被害の原因はプベルル酸とは言えないのではないか』という見解を示しています。今井先生によりますと、「プベルル酸に腎障害を発症させる報告はない」ということ。さらに、「プベルル酸は、毒性が強いとは言い切れない、フグの1万分の1の毒性」ということです。

5匹中4匹死んだ…のはマラリア感染のマウス

(東京工科大学 今井伸二郎名誉教授)元々、厚生労働省がプベルル酸が毒性が強いと言った根拠っていうのは、北里大学が出した論文を引用してるんです。

 北里大学の論文の中身を見てみると、「元々マラリアを感染させたマウスにプベルル酸を摂取させたときに、5匹中4匹が死んでしまった」というデータから話をしています。

 ただ、毒性を評価する際には、マラリアに感染させたマウスとかではなく、普通のマウスでやるものですから、そこで死んでしまった原因というのが、プベルル酸だけによるとは限らないことになってしまうんです。

 ですから、私はそのデータだけから見て、プベルル酸が強い毒性が強いということを言い切るのはちょっと難しいんではないかというふうに考えています。

――今井名誉教授は「プベルル酸の特性はわかっているんですけれども、別の何かと組み合わせたときの反応はまだわかっていない、そのため原因物質の特定は非常に難しい」という見方も示しています。

(東京工科大学 今井伸二郎名誉教授)というのは、プベルル酸自身が腎臓に対して毒性が出るかどうかっていう試験をするには、マウスを使った毒性実験が必ず必要になってきます。それを行うには数か月は最低でもかかる実験です。それだけでも大変であるのに、さらに複合的な作用を見るとすると、組み合わせが無限に近いほど多くなってしまって、非常に時間がかかるだろうと想定されます。

「沖縄の豆腐よう、『モナコリン』少量なら問題ない」

――今井名誉教授は、紅麹に含まれ、コレステロールの抑制作用がある『モナコリン』についても言及しています。

(東京工科大学 今井伸二郎名誉教授)元々、紅麹の中には、モナコリンという成分が入っています。例えば「豆腐よう」という食品、これは沖縄の伝統食で長い期間食べられているんですけれども、豆腐ようを食べても、今まで腎臓に障害を与えるような結果っていうのは得られていません。そう考えると、豆腐ようにモナコリンは入っているけれども、少量の摂取なわけですね。ですからそういったことで問題が生じるということは今まで知られてはいないです。

(東京工科大学 今井伸二郎名誉教授)小林製薬のサプリは、コレステロールを下げるという機能を求めている製品です。当然モナコリンは多く使われてるわけですね。3錠は通常であれば、そういう「薬害が出ないような量」として使われているはずなんですけれども、また別の理由もあるのかもしれませんけれども、副作用的にそういうような障害が出てしまったという可能性が考えられます。

 サプリとして、高濃度に出してるのは小林製薬だけです。他のメーカー等で回収をしている製品はいっぱいあると思いますけれども、どちらかというとそれは着色剤とか、健康機能をうたうとしても、それほど濃度、量を入れてない製品なんです。だから健康被害っていうのはこれまで出ていないです。

 台湾で出てる人がいるんですけれども、これは小林製薬が提供している原料を使って作ったサプリなので、当然そういうことが起こってもおかしくないということです。

 また、一定の「ロットにだけ」ってことについては、多分一番新しいロットのことだと思いますが、古いロットを食べた人が、本当に発症していないかどうかっていうのはわからないです。

――ただ、不安な方も多いですから、小林製薬には原因究明を急いでもらい、早く情報開示していただきたいと思います。

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