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先生の『働きすぎ問題』解消につながる!?外部指導員のリアル 部活で教えるのはソフトテニス歴20年のベテラン...専門的指導で"勝つ喜び"を 「上達が早くなった」の声も

MBSニュース / 2024年4月23日 12時57分

 近年、“教師の働きすぎ”が問題になっていますが、その要因のひとつが『部活動の指導』です。そんな教師の救世主になるのでしょうか。中学校で働く、部活動の「外部指導員」を取材しました。

中学校で週3日指導 先生を目指す外部指導員の男性

 東大阪市にある近畿大学附属中学校のソフトテニス部。そこで指導をしているのは、顧問の先生…ではなく、外部指導員の伊藤淳一さん(44)です。ソフトテニス部が活動する月・水・金・土のうち、月曜日以外の週3日、指導しています。

 (指導する伊藤淳一さん)「後ろに下がって、前に踏み込んでしっかりと打つ。アウトしないように、しっかりコートに入れることを前提で」

 伊藤さんは中学生から現在まで部活動やクラブチームなどでソフトテニスを続けて、かれこれ約20年の大ベテラン。

 そんな伊藤さんは教育学部を卒業していて、学校の先生を目指していますが、“ある葛藤”を抱えて、今は外部指導員を選んだと言います。

 (伊藤淳一さん)「実際先生になって、そこから配属がソフトテニスの顧問に100%なれるかっていったら、そういうわけではないので。それだったら外部指導員からさせていただいた方が確実かなと」

顧問の先生「早く帰れる日が増えた」 経験者による指導で「新しい練習とかがいっぱいできてうれしい」

 伊藤さんが指導している間、顧問の先生・吉野泰史さん(35)の姿は職員室にありました。クラス担任と男子ソフトテニス部の顧問を務める吉野さん。外部指導員の導入により、働き方は大きく変化したと言います。

 (男子ソフトテニス部顧問 吉野泰史さん)「次の日の授業の準備などはクラブのあとに今までやっていましたので、その時間が空いたことによって、少しでも早く帰れる日が増えたので、それはすごくありがたく思っています」

 そんな吉野さん、ソフトテニスの経験は…

 (吉野泰史さん)「全くないです。元々ずっとサッカーをしていましたので、ソフトテニス部の顧問になったときは、本当に何もわからない状態からのスタートだったんです」

 7年前、サッカー部の顧問からソフトテニス部の顧問に。しかし、未経験のスポーツなので知識もなく、本を買ってルールなどを勉強するも、やはり専門的な指導までは難しかったと言います。

 そうした背景から、これまで部活の練習メニューを考えていたのは、部員ら自身。指導者がいなかったこともあり、決してレベルが高いとは言えませんでした。だからこそ、伊藤さんの指導で部員らは大きく変化しました。

 (男子ソフトテニス部主将)「今は外部指導員の方が来てくれて、いつでも見てくれて、上達が早くなって、いいと思います」
 (女子ソフトテニス部主将)「新しい練習とかがいっぱいできてうれしいです」

 伊藤さんが外部指導員としてやってきて約2か月。男子と女子で練習メニューを変えるよう意識しています。特に女子との“距離感”には気をつけているということですが、練習後、こんなやり取りがありました。

 (記者)「伊藤さんはどういうところがいいですか?」
 (部員)「わかりやすくて、よくお話ししてくれます」
 (部員)「優しいです、めっちゃ」
 (伊藤さん)「ありがとうございます」
 (部員)「プライベートも仲良いです」
 (伊藤さん)「うそつけぇ、それは俺知らんぞ!それ問題発言や!」
 (部員)「違うで、違うで、部活以外ってことです、帰りとか」
 (伊藤さん)「そこだけやろ」
 (部員)「そう、そこの帰り」
 (伊藤さん)「怖い怖い、もうやめて」

 部員からの思わぬ暴露に伊藤さん、ヒヤリ。しかし、打ち解けられているのは確かなようです。

指導員めぐっては暴言や暴力などの問題も 求められる“質の担保”

 部活動の指導のあり方をめぐっては、指導員による暴言や暴力など不適切な言動がたびたび問題に。現在、国は部活動を地域や民間団体に委ねる「地域移行」を進めていて、学校の先生以外の指導を受ける機会が増えるとみられる中、指導者の“質の担保”が求められています。

 伊藤さんが所属する人材会社の「サクシード」ではそうした課題に対して、丁寧に研修をしていると言います。

 (サクシード 森峰志取締役)「やっていいこと、悪いことはどんどんアップデートされてる状況。こういった暴言などの扱いだとか、過去は熱心な指導と言われたものが、今だと行き過ぎた指導というふうになってきているので」

 こちらでは、2017年から外部指導員の派遣を行っているということですが、ここ2~3年で問い合わせが急激に増加。需要の高まりを実感していると言います。

 (スタッフ)「年間でいうと、最初は1校ぐらいの導入だったのが、10校とかになってきていて、本当10倍ぐらいの感覚で増えてきてるのかなと思います」

大会では部員への声かけや応援も欠せないが「運営」も業務のひとつ

 4月6日、東大阪市で開催された中学生のソフトテニス大会。今年1月から近畿大学附属中学校で外部指導員を務める伊藤さんにとって初めての公式戦です。

 (伊藤淳一さん)「生徒と一緒で緊張はしていますけど、1回でも、やっぱりみんなに1回勝ってほしいなって。前回とか1回戦負け多いって聞いたので」

 早速、試合前に部員らを集めて始めたのは、“応援”の練習です。しかし、部員らはこれまでそうした経験がなかったことから少し困惑気味。

 それでも何とか応援を覚えていざ試合へ。部員らが普段の力を発揮できるようにしたいと言っていた伊藤さん、試合の間での声かけや応援、アドバイスも欠かしません。

 (部員に話す伊藤淳一さん)「緊張しすぎやな、足が止まってる。でもいい、当てるだけで。コースに返せばいい」

 ただ、この日の伊藤さんの役割は試合のアドバイスだけではありません。外部指導員は校外試合などの引率も業務のひとつであることから、普段、顧問の先生がしている仕事を学びます。その大きなひとつが大会の運営で、各学校が交代で担当しています。

 試合結果の記録をする紙担当と、次に試合する選手らの呼び出しをする担当に分かれていて、最初は混乱する様子も。しかも、その間に部員らの試合が始まってしまい、ベンチから試合を見守ることができず、思わずこんな本音が漏れました。

 (伊藤淳一さん)「本当は大会運営をお願いして試合を見にいきたい。本来はそちら(指導の立場)なので、それは思ってますけどね。でもこういうのも先生の代わりなんで、これもちゃんとした役割だなと思ってます。すごくジレンマです」

試合結果はこれまでにない好成績「勝つ喜びをわかってもらえたと思う」

 そして、試合はどんどんと進んでいき、近大附属中学校の最高記録は、なんと、主将ペアの第3位!他の部員もほとんどが1回戦を突破し、これまでにない好成績となりました。

 (男子ソフトテニス部主将)「目標のベスト4を達成できてうれしい気持ちと、まだ課題がいくつかあるなって思いました。(Qこれまでの大会との違いはあった?)みんなの応援の声がめちゃくちゃ大きかったです、今回は」

 伊藤さんが伝授した応援が、主将らの力になっていました。伊藤さんも、今回の結果に一安心したようで…

 (伊藤淳一さん)「自己成長というのは指導のメインではありながら、勝つ喜びとかもちょっとわかってもらえたと思うので、全員1勝、その次に2勝とか、そういう形でちょっとずつ勝利を狙えたらと思ってます」

 先生の働き方改革の一翼を担うであろう外部指導員。伊藤さんと部員らのこれからの成長に注目です。

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