拍車かかる「菅さまのNHK」偏向報道 -植草一秀
メディアゴン / 2021年4月11日 0時59分
植草一秀[経済評論家]
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菅首相が3月21日をもって緊急事態宣言解除を強行した理由は3月25日の聖火リレー開始にあった。緊急事態宣言発令化で聖火リレーを開始できない。この理由から緊急事態宣言解除を強行した。しかし、この時点でコロナ感染は再び拡大に転じていた。
筆者はブログ、メルマガ等で感染再拡大深刻化の可能性を再三指摘した。その懸念通りの現実が生じている。
感染波動は世界の感染波動と人流変化の二つの要因によって形成される。世界の感染波動も第4波に移行している。人流は12月末から1月末まで低水準推移したが2月中旬から明確に増加に転じた。3月下旬以降、季節的要因で人流が拡大する時期に移行する。3月21日に緊急事態宣言を解除すれば人流が急拡大することは明白だった。実際に3月下旬にかけて人流は急拡大した。
人流変化から3週間遅れて新規陽性者数が変化する。コロナ感染第4波が深刻化していることは誰の目にもはっきりしている。4月7日の全国新規陽性者数は3461人に達し、1月30日以来、初めて3000人を超えた。
この危機的状況下で菅内閣は人為的に密集、密接を生み出す聖火リレーを強行している。聖火リレーの実態は「商火リレー」だ。五輪が商業イベントであることをアピールする商業イベントが展開されている。大音響コンボイを編成しているコカ・コーラ、日本生命、NTT、トヨタ自動車の責任は重大。賢明な国民はこれら企業に対する不買運動を実行するべきである。
この「商火リレー」によって各地で大規模な密集・密接が生じている。コロナ感染拡大の原因が日本政府によって創出されている。商業五輪に加担するマスメディアはこの暴挙を後押しする。
NHKは「商火リレー」中継に際して、五輪反対、商火リレー反対の音声を消去する。街頭インタビューで「商火リレー」に反対する市民の声を紹介しない。NHKはニュース報道で北朝鮮の東京五輪不参加表明の事実を最小の扱いでしか報じない。北朝鮮はコロナリスクの観点から東京五輪不参加を表明した。東京五輪の再弱点を突いた北朝鮮の「正論」は、トップニュースとして扱うべき重大性を有している。
NHKの「臭いものにふた」の報道姿勢は「すがさまのNHK」の実態を如実に示すもの。
4月6日、国際水泳連盟(FINA)は4月から5月にかけて日本で開催予定の3大会の中止を発表した。NHKは水泳の日本選手権を大々的に報道するが、国際水連の重大発表を大きく報じない。3大会とは、1.飛び込みのW杯兼五輪最終選考会(4月18日~)、2.アーティスティック水泳の五輪予選(5月1日~)、3.オープンウォーターの五輪予選(5月29日~)。3大会とも五輪予選であり、1、2は五輪のテストイベント(本番で使用する会場を用いての競技運営最終予行演習)を兼ねている。
3大会の中止で正規の方法での五輪代表決定が不能になった。テストイベントなしの本大会はぶっつけ本番となる。3大会中止の理由は日本のコロナ対策不備である。国内の水泳大会報道よりも国際水連の決定の方がはるかに重大な意味を有する。
各方面から東京五輪中止を決断するべきとの声が沸騰しているが、商業五輪を強行しようとする利権至上主義勢力がスクラムを組んで日本の情報空間を占拠している。このような局面で最重要になるのが国民の見識だ。日本の主権者は国民。国民が権力者の暴走にどのように対応するのかが問われている。
コロナ感染では変異株が感染の中核に移行している。変異株は感染力が高く、毒性も強く、ワクチン耐性を有していると見られている。直ちにコロナ感染対策に全力を注がなければ手遅れになる。
菅暴政、五輪組織委員会の暴走に対して日本の主権者国民が堂々とものを言うことが何よりも大事だ。
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