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現役弁護士が「魔法少女まどか☆マギカ」での「魔法少女契約」の法的な問題点を指摘するとこうなる。

メディアゴン / 2014年12月12日 22時45分

写真

高橋維新[弁護士]

* * *

(本記事は、9ページの「魔法少女まどか☆マギカ」の訴状を画像化していますので、見にくい場合は、「メディアゴン」サイトにてオリジナル画像で閲覧ください)

<解説> 本記事は、現役弁護士の著者が、現実のメディアに溢れている様々な「訴訟に発展しそうな事実関係」を拾い上げ、その一方の当事者から依頼を受けた弁護士に勝手になって、大真面目に訴状を書いてみるという連作企画である。前回の第一弾では、「ウルトラマン被告の訴状」を書いた。

第二回となる今回の題材は「魔法少女まどか☆マギカ」である。筆者がこのシリーズを発案するきっかけになった事案である。

中身は訴状の通りであるが、巷間でも色々と悪評の高い「魔法少女契約」の法的な問題点を指摘すると、こうなるということである。

少し、法律の話をする。

「魔法少女契約」には契約法上も色々な問題があるので、被告キュゥべえの契約責任を追及することもできるのだが、結局キュゥべえのやっていることは人殺しと一緒なので、訴状ではキュゥべえが人を殺したという「不法行為」の責任を追及している。訴状では契約法上の問題点をつらつらと指摘しているが、本来、あんなに詳しく書く必要はない。あれは、遊びで盛り込んだだけである。

この訴訟は、入口の段階で、大きく分けると3つの問題があるが、今回はその2つに言及しておく。

一つは、被告のキュゥべえと地球外生命体が「人」と認められるかどうかである。民事訴訟は、法律上、原告も、被告も「人(生物学的な人か、法的な人としての法人)」でないといけないということになっている。

筆者が函館で司法修習を受けている最中に見学した大間原発の建設差止訴訟(今話題の函館市が原告になっているものではなく、それ以前に市民たちが原告となって提起した別の訴訟である)では、大間のまぐろが原告に名を連ねていたが、まぐろが原告の部分は切り離されて一足早く却下判決を受けていた。

原告が「人」でないので、訴訟の成立要件を満たさないという判断である。実際のところウルトラマンも宇宙人なので前回から同じ問題はあった。

筆者は、個人的には、宇宙人でも知的生命体でさえあれば民事訴訟法上も「人」として扱っていいと思っている。ここを詳しく書くと読者が離れていくので割愛するが、宇宙人も知的能力さえあれば外国人と変わりないだろう。

今一つの問題は、訴状を届けられるかどうかである。裁判所は、原告から訴状が届いた段階では、書いてある内容が正しいかどうかなどは一切見ずに、まずこれを被告に届ける。その後これを読んだ被告からの反論・言い分が届いてから、何が正しいかを見極めていくという順序である。

そのために、まずは訴状を被告に届けられないと裁判が始まらない。訴状を届ける際に用いられるのは、「特別送達」という非常に厳格な手続である。キュゥべえは地球にいればまだいいだろうが、大宇宙にいる地球外生命体に「特別送達」ができるだろうか。この点は郵便屋さんに頑張ってもらうしかない。

このように、この「キュゥべえ問題」を司法の力で解決しようとすると色々な問題があるので、ここは立法による被害者の救済を期待したいところである。

例えば、キュゥべえを天災みたいなものだと捉えて、被害者や遺族にお金が渡るような特別措置法を作るのである。法廷闘争が早いか、陳情が早いか、悩ましいところではある。

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