<2015年春ドラマPart3>火曜22時枠はTBSの『マザー・ゲーム』の圧勝か
メディアゴン / 2015年5月1日 13時17分
黒田麻衣子[国語教師(専門・平安文学)]
* * *
◼︎「真逆」キャラ
ドラマにおいて、主人公と「真逆」のキャラを登場させるのは、共感を呼ぶのにもっとも手っ取り早い手法の一つであろう。フジテレビの水曜22時『心がポキッとね』は、真逆キャラのオンパレードだ。
主人公春太(阿部サダヲ)と大竹(藤木直人)は、まるで対局にいる二人として設定されている。今彼とモト夫、経営者と雇用者、悩み多き男と悩みナシ男クン。そこに絡まる二人の女性もまた、若くて独身でも無職でストーカー気質のみやこ(水原希子)と、バツイチアラフォーだけど仕事して彼氏いてでも自意識過剰な静(山口智子)という対極さ。
残念なのは、対極の仕方がどのお方もぶっ飛びすぎてて、なかなか共感しづらいところか。いくら対極を作ってみても、誰に共感させたいのかが曖昧なままスタートしてしまうと、ドラマは暗礁に乗り上げる気がする。
各局がドラマで競う今春の火曜日22時枠は、そういう意味で、TBSの『マザー・ゲーム』がいちばんしっかり芯を持った作りになっている気がする。ごく普通の「庶民」の蒲原希子(木村文乃)が、ひょんなことから息子を通わせることになったのは、超セレブなお家のご子息が通う、都内でも有名なお受験幼稚園だった。
セレブママVS庶民ママという対決の構図は、非常にシンプルでわかりやすい。主人公の希子は、びっくりするほど空気読まないかと思えば、ママ友の心情を敏感に察知したりして、キャラ設定には多少問題ありそうだが、それでも、希子と息子の遥斗との親子関係はとても素敵だし、希子の母親としてのまっすぐな思いが、周囲の人の凝り固まった心を少しずつ解きほぐしていく様は、心にじんわりと染みいる。
誰の視点で物語を展開すれば、視聴者の共感が得られるのかが考えられた作りとなっているように思う。
あと一つ、何を伝えたいのかがもう少し明確に見えてきたら、ドラマはおもしろさを増すだろう。今後の展開が楽しみである。(つづく)
(Part.1|Part.2)
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