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日経平均株価の史上最高値更新はユニクロと米エヌビディアのおかげ?

MONEYPLUS / 2024年3月29日 7時0分

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日経平均株価の史上最高値更新はユニクロと米エヌビディアのおかげ?

年初から急上昇が続く日本株。日本を代表する株式指数の1つ、日経平均株価は2024年2月22日、1989年のバブル時に付けた史上最高値3万8915円を更新しました。さらに、4万円の大台を突破するなど快進撃を続けています。史上最高値の更新は一般向けの情報番組などでも取り上げられたので、「株を始めてみようかな」と考える方もいるのではないでしょうか。

たしかに、日本株は年初から歴史的な上昇相場を描きました。ただ、「日経平均株価の史上最高値更新」については、あるカラクリがあります。今回はそのカラクリにスポットを当て、史上最高値更新の裏側に迫りましょう。


日経225銘柄の過半がバブル時と入れ替わっている事実

2024年の大発会(その年の最初の取引日。2024年は1月4日)、日経平均株価は前年最終日(12月29日)の引け値3万3464円から、377円のマイナスで始まりました。株式相場は1年を通して続いていくもので、1日の値動きだけで相場の傾向が決まるわけではありません。しかし、その年の始まりが大幅安となるのは、投資家や相場関係者にとってあまり気持ちのいいものではないでしょう。

ところが、そんな投資家の不安を横目に、日経平均は怒涛の上昇を開始します。1月中に3万7000円に迫ると、2月22日には1989年のバブル時に付けた最高値、3万8915円を突破。3月4日には4万円の大台さえ軽々と抜いてしまいました。年末年始には、株式アナリストやエコノミストがその年の日経平均株価の高値・安値の予想を披露しますが、そんな大勢のプロたちも、まさか2カ月余りで日経平均株価が4万円の大台を突破するとは、夢にも思わなかったでしょう。

そんな絶好調の日経平均株価ですが、史上最高値更新の裏には、あるカラクリが存在します。そのカラクリを解き明かすには、日経平均の構成銘柄について見る必要があります。「バブル時の史上最高値の更新」と聞くと、多くの銘柄がバブル当時につけた株価水準を上回ったようなイメージが生まれるかもしれません。しかし、日経平均を構成する225銘柄は、1989年当時の顔ぶれとは様変わりしていて、倒産したり、他社と統合したりした企業が少なくありません。あるアナリストの調べによると、1989年当時の日経225銘柄と現在を比較すると、3分の2以上が入れ替わっているそうです。

日経平均株価を算出している日本経済新聞社は、4月と10月の年2回、構成銘柄の入れ替えを行っています。入れ替えを行う理由は、日経平均株価が“日本を代表する株価指数”として適切な銘柄構成にするため。日々の出来高が少なくなっている銘柄などを除き、株式市場で存在感を増している新しい企業に入れ替えることで、時代に即した株価指数を目指すというわけです。

現在の日経225銘柄には、トヨタ自動車や日本製鉄といった昔から構成銘柄に選ばれている企業のほか、ソフトバンクグループ(日経平均に組み入れられたのは2004年)や医療従事者向けの情報サイトを運営するエムスリー(同2019年)など、時代の流れに乗って業容を拡大した企業が構成銘柄に採用されています。また、日経平均に新規採用されるのは何も新興企業だけではありません。2021年は任天堂、2022年にはオリックスが日経平均の構成銘柄に新規採用されました。

構成銘柄を選定している日経新聞社によると、「市場流動性(日々の出来高)やセクターバランスを考慮して構成銘柄を入れ替える」とのことです。構成銘柄が属するセクターが偏ると、一部のセクターの好不況が日経平均に大きく影響してしまうため、「日本を代表する株価指数」と呼べなくなってしまうというわけでしょう。

1989年の「バブル時の最高値」当時の日経平均を構成していた225銘柄と、現在の225銘柄では半分以上が入れ替わっていることを考えると、バブル当時の高値と現在の高値を比べることに意味があるとは思えません。もちろん、「史上最高値を更新!」という象徴的な意味はもたらします。ただ、経済や社会状況、企業を取り巻く環境などは大きく変化しているため、「歴史上で一番高くなったのだから、株式相場は当時より良い」と単純に考えることはできません。その点では、東証の全銘柄で算出されるTOPIX(東証株価指数)のほうが、比較に適した指数といえるでしょう。もちろん、TOPIXに関しても倒産や新規上場などによって銘柄の構成は変わりますが、全銘柄を対象としているだけに、バブル時との比較はより適切といえそうです。

ちなみに、TOPIXの史上最高値は、やはりバブル期に付けた2884.80ポイント。今年3月22日に、TOPIXは2820.45ポイントまで上昇し、史上最高値まで64ポイントに迫りました。現在の相場の勢いなら、TOPIXの史上最高値更新は時間の問題かもしれません。

史上最高値更新はユニクロとエヌビディアのおかげ?

日経平均が史上最高値を更新した最大のカラクリは、「半導体関連株の株価急上昇」です。先ほど、日経新聞社は日経225銘柄の選定に際して、「セクターの偏りがないように選ぶ」ことに触れました。しかし、現在は限られた銘柄群の影響が非常に大きくなっています。それが、東京エレクトロンやアドバンテスト、レーザーテックといった「半導体関連株」です。

日経平均株価は、「225社の株価を足して225で割る」という単純平均ではなく、「株価換算係数」や「序数」といった数値を用いて計算(気になる方は、日経新聞社が公表している「日経平均株価算出要領」のPDF15ページの資料をお読みください)されていて、「値がさ(株価が高い)の銘柄の影響力が大きくなる」傾向があります。そのため、現状ではユニクロを展開するファーストリテイリング(3月28日の終値で4万6930円)や半導体製造装置の世界的メーカーである東京エレクトロン(同3万9510円)、半導体検査装置メーカーのアドバンテストなど、半導体関連株の値動きの影響が非常に大きくなっています。

たとえば3月18日、日経平均は前週末比で1032円高と急騰しました。そのうち、前述のファーストリテイリングと東京エレクトロンの2銘柄だけで、上昇分1032円のうち、340円も押し上げています。その他の半導体関連を入れると、実に上昇の約半分が「ファーストリテイリング+半導体関連」で占めたのです。日経平均株価が上昇しているのに、全銘柄中、「株価が値上がりした銘柄の数」よりも、「値下がりした銘柄の数」のほうが“はるかに”多い日も珍しくありません。こうした状況を見て、外資系金融機関の中には「日経平均は日本全体の株価を表す指数ではなく、『ユニクロ+半導体株』指数だ」などと揶揄(やゆ)する関係者がいるそうです。

現在は、生成AIやデータセンター向けなどの需要の拡大によって、半導体は世界的に注目される分野になっています。生成AIに必須の半導体、GPU(画像処理装置)のトップメーカーとしてめきめきと頭角を表したエヌビディア。株価は、2020年以降の4年間で約14倍に上昇しました。特に、2023年以降の上昇はすさまじく、日本の半導体関連株もそれに引っ張られる形で急上昇しています。日経平均株価の史上最高値更新の裏側には、半導体関連株の株価急上昇があるのです。一言でいうなら、「エヌビディアのおかげ」なのかもしれません。

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(新井奈央)

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