アウディ e-tron: EVのバッテリー技術で重要なのは熱マネジメントとクラッシュセーフティ@ベルリン Part3
MotorFan / 2018年5月13日 14時10分
アウディは電動車両、e-tornを2025年までに30%以上にするという意欲的な計画を持っている。そこで重要なのが、充電技術とバッテリーマネジメント技術。ドイツ・ベルリンで行なわれた技術セミナーを取材した。 TEXT&PHOTO◎鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi)FIGURE◎AUDI
考え抜かれたバッテリーパックの構造
パート1とパート2はこちら
充電技術の次は、バッテリーマネジメント技術だ。アウディは、リチウムイオン・バッテリーについては、マルチプルサプライヤー戦略を採る。スペックが同等であればサプライヤーは問わない。実際、今回のe-tronプロトタイプに搭載していた電池はLGケム製で追ってサムソンSDI製も使う。バッテリーセルを独自で造らないとなれば、差別化できるのは、バッテリーのマネジメント技術だ。特にサーマルマネジメントとクラッシュセーフティの技術開発にアウディは注力している。
実際、150kWのHPCで充電した際に発生する熱を効率的に冷却できなければ、充電できないどころか危険ですらある。バッテリーの高温化は電池の性能劣化、寿命の短縮を招いてしまう。e-tronのサーマルマネジメントシステムは、バッテリーの温度を25~35℃に保つ。冷却システムは、細かいポートを開けたアルミ押出材と熱伝導性の高いゲルによって、セルが放出する熱をバッテリーハウジング経由でクーラントへ伝える。冷却回路はエアコン、バッテリー、充電器など適温が違うデバイス毎に3つの回路を持ちコントロールされている。ここまで精密にバッテリー管理を行なっているのには、正直驚いた。
安全性については、EVプラットフォームとして、クラッシュにどう対応するかが技術的ハードルだ。バッテリーパックをシャシーの構造材としてもクラッシュ・ストラクチャーとしても考えなければならないのだからだ。バッテリーは35個のボルトでボディに接合されているが、メインテナンス性まで考慮してあり修理の際には車体から簡単に取り外せるようになっている。
エンジニアに訊くと、e-tronを10年使用した後に何%の電池容量が確保できるかは、使用条件によって異なるので明確な数字を言うことはできないが、10年経っても充分なバッテリー容量を持つという。
今回見せてもらった技術は、今後のアウディの電動化車両にすべて使われていく基盤技術になる。このバッテリーパック、というよりもバッテリーマネジメント、充電システム込みのEVプラットフォームが、今後登場するであろうアウディe-tronファミリーに搭載されていくはずだ。
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