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フレームは完全新開発。では、キャリーオーバーしたパーツは? 新型スズキ・ジムニーならではのこだわり②

MotorFan / 2018年7月29日 15時40分

フレームは完全新開発。では、キャリーオーバーしたパーツは? 新型スズキ・ジムニーならではのこだわり②

20年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたスズキ・ジムニー/ジムニーシエラ。ロングライフモデルのモデルチェンジは難しいものだが、「原点回帰」を徹底した今回のフルモデルチェンジは、各方面で好意的に受け入れられている。試乗会後に開発者とのインタビューで、ジムニーならではこだわりを訊いた。

何を継承し、何を変えていくか?


 ニューモデルを開発する際には「ベンチマーク」を設定するケースが多い。たとえば、Cセグハッチバックなら、たいていベンチマークは「フォルクワーゲン・ゴルフ」である。

 今回のジムニーのベンチマークは、「先代ジムニー」だった。世界的に見ても、このサイズで本格4WD車は、他にないからだ。

 新型の開発コンセプトは、「原点回帰」だ。そこで開発では、「残すところ、新しくするところ」が重要になる。
 ジムニーは海外でも販売され、世界累計285万台のセールスを誇るが、海外モデルは、660ccエンジン搭載車ではなく1.3ℓ直4エンジン(新型は1.5ℓ)である。
 ご存知の通り、ジムニーは軽のモデルがベースにあり、そのボディサイズを拡幅し、エンジンの排気量を大きくしたものが、ジムニーシエラ(海外モデルのジムニー)である。余談だが、海外モデルのジムニーはかつてはSamurai(サムライ)など別のモデル名を持っていたが、現在はサムライというモデル名はもう使っていない。

 軽ベースなので、日本以外の市場から「もっとボディサイズを大きくしてくれ」という要望があるかというと、そうではなく、逆に「これ以上は大きくしてくれるな」という調査結果が出たという。あのコンパクトさがいい、というわけだ。

 そこでベンチマークたる先代に対してどこを伸ばしていくか。そして、開発するうえで、キャリオーバーしなくてはいけない制約はなにか?を開発陣に訊いた。

新型ジムニーはK6A型からR06A型へエンジンが変わった。

 エンジンは、ジムニーがK6A型からR06A型へ、ジムニーシエラが、M13AからK15Bへ切り替わったが、トランスミッションは、先代と同じ4速AT。これはアイシン・エィ・ダブリュ製だ。トランスファーは、アイシン・エーアイ製で、これも先代と同じ。ちなみに、5速MTは、スズキ内製である。


■R06A
エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
排気量:658c
ボア×ストローク:64.0×68.2mm
圧縮比:9.1
燃料供給:PFI(ポート噴射)
最高出力:64ps(47kW)/6000rpm
最大トルク:96Nm/3500rpm

ジムニーシエラが搭載する1.5ℓ直4エンジン K15B型

■K15B
エンジン形式:直列4気筒DOHC
エンジン型式:K15B
排気量:1460cc
ボア×ストローク:74.0×84.9mm
圧縮比:10.0
燃料供給:PFI(ポート噴射)
最高出力:102ps(75kW)/6000rpm
最大トルク:130Nm/4000rpm

トランスファーも先代からキャリーオーバーしたアイシン・エーアイ製を使う。

 ステアリング機構は、これも先代からキャリーオーバーしたボール&ナット式。20年間大きな問題がないという先代の信頼性の高さを買っただけでなく、ラック&ピニオン式は独立懸架サスペンションでないと難しいという面もある。リジッドアクスルの場合は、ラックを通すのが難しいという構造上の理由だ。
 こちらのサプライヤーは、従来通りジェイテクトだ。
「ボール&ナット式のハンドリングって、ちょっと昔のクルマの感じがするよね。現代主流のラック&ピニオン式のビュッすごく切れ込んでいくのではなく、優しい感じが特徴の乗り味になっている、と多くの方から言われました」という。

 パワーアシストは、ジムニーシエラもコラムアシストの電動式になった(ジムニーは先代も電動アシスト)。

ステアリング機構は、先代から継承したボール&ナット式。

新採用したステアリングダンパーが見える。効果は高く、いやなキックバックはうまく低減させていた。

中央に見える「X字」型のXメンバーと最後端(右)と、前から3本目のクロスメンバーは、新型になって追加したもの。

 大きく進化したのは、フレームだ。先代もフレーム式を採っていたが、新型のフレームはまったくの新開発。共通に使っている部分はない。ハイテン材を使う部分を増やしたほか、フレームのモナカ形状の中に隔壁を設けるなどして、ねじり剛性を1.5倍に引き上げている。
 これには、クロスメンバー、Xメンバーの追加も効いている。
 強靱になったフレームの上に載せるボディも進化させている。フレームとボディの接点であるボディマウントは、大型化され、横方向はタイトに縦方向は柔らかくすることで乗り心地を向上させてい

3リンクリジッドアクスル式サスペンションも先代から継承。左右輪をダイレクトに繋ぐリジッドアクスル式サスペンションはジムニーの重要なポイントだ。

フロントからリヤ側へアンダーボディを見てみる。

フロントサスペンション

 信頼性を優先した部分はほかにもある。脚周り、リーディングアームは、先代とほぼ共通。しかし、アクスルに関しては強化してフレームの剛性が上がった分、接地性を上げている。

 これは試乗でも充分に体感できた。とにかく、ボディもフレームもしっかりしていて不安感がないのだ。 

 車重は、先代XC(5MT)の990kgに対して、新型XC(5MT)が1030kg。軽くはなっていないが、「車重は真面目に作り込んだ結果。この乗り味が実現できたのはよかったと思います」とのことだった。
 実際、フレームとボディ、ボディマウントの進化で、NVH性能は飛躍的にアップしている。

 

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