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トヨタ・プリウスのメカニズムを徹底解説!

MotorFan / 2018年9月2日 8時0分

トヨタ・プリウスのメカニズムを徹底解説!

 低重心の恩恵やパワートレーンの制御変更、そしてサスペンションの刷新はプリウスをどれだけ進化させたのか?リアルワールドでの試乗でTNGAのメリットを解き明かす。

ドライバーからの視界は変わらず良好

カウル高さの低減量は62㎜と、着座高の低減量を上回り、前方視界は悪化していない。着座位置が低くなったため、長身者でもルームミラーの目障り感がなくなった。ボンネットの先端は低くなり、トヨタマークの高さは86同等とのこと。単に見た目だけでなく、気流の分岐位置も低くなっているはずで、床下に流れ込む空気量の低減にも役立っているのではないか。

刷新された室内の乗員配置

着座高の低減量に比べて、全高の低減量が少ないが、ルーフ後半の空力形状を維持しつつ、後席ヘッドルームも成立させるには、これが最適解だったということ。補機用の鉛電池も、ラゲッジルームからエンジンルームへ移されている。

室内空間をアップデート


前席の着座姿勢を「運転重視」にしただけでなく、後席の着座姿勢も「腰かけ型」から「ソファー型」に近くなった。前後席とも、ロングドライブ適性が高くなったと言えるだろう。また、ラゲッジの床面長は、「折り畳んだ車椅子を平積みできる」という具体的要件を掲げて設定。リヤオーバーハングが長くなった大きな理由がこれである。

完全新設計で生まれた従来の常識を超えた新ボディ

TNGA(Toyota New Global Architecture)とは、今後のトヨタのクルマづくり全体の思想を表したもの。“Architecture” と付いているが、特定の構造を指すものではない。共通化/標準化によるコストダウンや開発期間の短縮によって得られた利得を商品力の向上に振り向け、原価低減と大幅な商品力向上を両立させる設計思想のことを指す。新型プリウスは、それを反映した商品第1号となる。

骨格の環状構造


ドア開口部やリヤサスまわりに環状骨格を回すのは、ボディ剛性向上の常套手段となったが、新型プリウスでユニークなのは、フロントサスタワーからインパネリインフォースにかけても“日”の字の骨格構造を形成していること。サスタワー後部とカウルアッパーをガセットでつなぎ、インパネリインフォースからカウルアッパーに向けてもブレースを延ばし、カウルアッパーにも閉断面を横断させることで、“日”の字の骨格を形成している。

リヤサス形式はダブルウイッシュボーンに

フロントサス形式は変わらずストラットだが、フリクションの元となる曲げ入力を排除するジオメトリー設計を実施。入力分離型アッパーマウントも、全車適用となった。リヤサスはトレーリングリンク・ダブルウイッシュボーン式に改められたが、これは欧州Cセグメントの定番形式。ダンパーは前後とも飽和バルブタイプとし、操縦安定性と乗り心地の両立を図った。

2種類のホイールサイズを用意



15インチタイヤ車と17インチタイヤ車は、上下の関係ではなく並列した関係。ハーシュネスショックやロードノイズの吸収性は15インチのほうが上だが、トレードオフとして操舵応答性は若干、マイルドになる。17インチはその逆で、乗り心地やロードノイズにやや硬さが出てくるものの、操舵の応答性や旋回中のダイレクト感は、17インチ車が圧倒的に優っている。

2ZR-FXE型1.8ℓ直列4気筒エンジン

シリンダーヘッドを刷新して燃焼室内に発生するタンブル流(縦渦)を強化するポート形状を採用し、燃焼速度を高める改良を行なっている。燃焼が安定したことから、EGR率を最大25%まで増大。部分負荷時の吸入気体量を増やすことで、絞り損失の低減を図った。それら以外にも、細かいフリクション低減対策を実施し、最大熱効率を40%まで向上させている。

ハイブリッドトランスアクスル

モーターのリダクションギヤを、遊星歯車から並行軸ハス歯歯車に変更。噛み合い要素が減ったことや、ファイナルドライブギヤで掻き上げた潤滑油をケース内側のポケットに滞留させて攪拌抵抗を抑えるなどの対策によって、機械抵抗損失を約20%低減している。モーターは巻線の断面や巻き方を改良し、コンパクト化を実施。軸方向の寸法を47㎜短縮し、搭載性の向上を図った。

ふたつのタイプの駆動用電池


バッテリーはニッケル水素電池に加え、リチウムイオン電池も採用する。充放電性能はほぼ同じになるように設計されており、動力性能や燃費に違いはないとのこと。リチウムイオン電池のほうが約15.8㎏軽いため、「E」と装備が充実して重くなる「A」グレード以上のFF車に搭載。重量差を縮小することで、サスチューンを共通化できるというのもメリットのひとつだ。

燃費を犠牲にしない電気式の四輪駆動

プリウス初の4WDシステムは、後輪駆動に誘導モーターを採用。FF走行時の引きずり抵抗低減を図った。通常の永久磁石式モーターは、電気を流せば回転し、強制回転を加えれば発電する性質があるが、4WDのリヤモーターにこれを使うと、FF走行時には、発電し続けることになってしまう。永久磁石を使わない誘導モーターなら、この損失が発生しないのだ。

エンジンからの熱を素早く空調に回す機構

グリルシャッター

排気熱回収器

2系統の冷却システム

ラジエーターへの導風をコントロールするグリルシャッターや、2系統の冷却水経路、排気熱回収器により、エンジンの熱を無駄なくヒーターへ迎え入れる。

空調を作動させる頻度を下げるためのアイテム

赤外線を反射する粒子を用いたサーモテクトライムグリーン

昇温・降温抑制機能付きステアリング

夏は熱くなりにくく冬は冷たくなりにくい特殊な合成皮革巻きのステアリングや、夏場の温度上昇を抑えるボディカラーを新たに採用。

走行機能を停止した状態で給電が可能なシステム


パワースイッチとAC100Vスイッチを複数回、操作することで、走行のためのシステムを作動させずに給電を開始。駆動用バッテリーの電気残量が少なくなると自動的にエンジンが掛かり、発電を開始する。

非常時電源供給に間するウェブページを公開中

トヨタは「災害に強い地域・社会づくり」を目指し、プリウスなど非常時給電を備えたモデルを紹介するHP(http://toyota.jp/priusphv/cp/external/)を開設。活用事例などが掲載されている。

停電している地域に自走で移動して発電


ハイブリッドのパトカーからの電力で、いざという時に信号機を復旧させる事例や、愛知県の中学校の防災キャンプで、夜間に体育館のLED電灯点灯や炊き出し家電の使用など、具体的な活用の方法を上記のウェブで知ることが可能。

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