イヤホンで音楽を聴きながらバイクを運転したいんだけど問題ある!?
MotorFan / 2019年4月24日 6時30分
教習所やガイド本では教えてくれない、「こんなことをしたら、一体どうなるの?」という事項。知ってるようで実は知らない、ちょっぴり気になる交通ルール。ここでは「バイクを運転中のイヤホン使用」をクローズアップしてみました。交通違反→反則金となる前に、ぜひ覚えておきましょう! REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki) ※この記事は2019年4月現在のものです。
4月を迎えて暖かい日々が続きます。もうすぐ新元号「令和」に突入する大型連休もあるし……。バイクでのんびりツーリングしたり、街乗りするには最適なこの季節。風切る音を聞きながら、運転するのもいいけれど、お気に入りの音楽を聴きつつ、鼻歌交じりに楽しくライディングしたい♪でもちょっと待って!
バイクを運転中のイヤホンの使用は、“使い方”によって取り締まり=交通違反の対象になります。
バイクを運転中のイヤホンの使用は、「道路交通法」の違反には問われませんが、各都道府県の「条例」によって規制。つまり、地域によって「違反になるか?違反にならないか?」が異なるのがポイントです。一例を挙げると、
東京都の場合、イヤホンを使用して音楽やラジオを聞くなど、 安全運転に必要な交通に関する音や声が聞こえない状態で車両を運転することは、安全運転の義務に反するとしており、違反の対象となります。(東京都道路交通規則・第2章 第8条 5)
神奈川県でも、安全運転に支障をきたす音量でイヤホンを使用することを禁止しています。(神奈川県道路交通法施行細則・第11条(2) 第5号)
【東京都道路交通規則】※一部抜粋
第2章 運転者の遵守事項等(運転者の遵守事項)
第8条 法第71条第6号の規定により、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。
(4)自転車を運転するときは、携帯電話用装置を手で保持して通話し、又は画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。
(5)高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと。ただし、難聴者が補聴器を使用する場合又は公共目的を遂行する者が当該目的のための指令を受信する場合にイヤホーン等を使用するときは、この限りでない。
【神奈川県道路交通法施行細則】※一部抜粋
第11条(運転者の遵守事項)
(1) 第3号
携帯電話用装置を手で保持して通話し、若しくは操作し、又は画像表示用装置に表示された画像を注視しながら自転車を運転しないこと。
(2) 第5号
大音量で、又はイヤホン若しくはヘッドホンを使用して音楽等を聴く等安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態で自動車、原動機付自転車又は自転車を運転しないこと。
神奈川県の場合、「片耳での使用はOK」は本当?
神奈川県警察では、かつて公式ホームページにて、「走行中のイヤホンの使用は原則として禁止されていますが、安全運転に必要な音や声が聞こえる(片耳だけイヤホンをしているなど)状態であれば、違反にはなりません」と公表していた時期がありました。
この「~(片耳だけイヤホンをしているなど)状態であれば、違反にはなりません」という記述は、「神奈川県は、片耳ならば違反ではない」という“誤解”を生みました。
その結果、2019年4月現在、上記の記述は、「イヤホンやヘッドホンの使用形態や音の大小に関係なく、安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態であれば、違反となります」に変更されています。
大音量でイヤホンを使い、周囲の音が聞こえない状態で音楽などを聴きながら運転することは、両耳or片耳の使用に関わらず、交通事故につながる危険性があると神奈川県警察は判断したようです(当たり前と言えば、当たり前ですが)。
神奈川県警察のこの見解について、ほとんどのライダーから大きな異論・反論はありませんでした。ネット上を見ても、批判的な意見は、ほぼ見当たりません。
ちなみに筆者(バイク歴30数年)は、イヤホンで音楽を聴きながら、バイクを運転するなんて怖くて無理。四論車とは違い、バイクはバランスの悪い前後2輪で走行させる「五感+もう1つの感(第六感)」を必要とする乗り物だから。聴覚1つ欠けていても、不安になってしまうのです(あくまでも個人的な見解です)。
ちなみに自転車のイヤホン使用は、東京都、神奈川県、大阪府、福岡県などの都市部で事故が急増し、各地の条例によって禁止になりました。
神奈川県警察ホームページ【記述変更前】
神奈川県警察ホームページより【記述変更後】
“ダイレクトに耳の中へ音楽を取り入れる”イヤホンは、運転の集中を欠く場合があるので要注意
上記の東京都や神奈川県の条例を読んで、「大音量でなければ、違反にはならない。だからイヤホンを使っても問題ない」と思った人も、中にはいるでしょう。
そもそも、「大音量かどうかは、取り締まる側の警察官が決めるものではなく、本人が感じるもの」です。例えば、東京都や神奈川県でバイクに乗り、“小音量で”イヤホンを使った場合。“大音量ではないのだから”、条例違反に問われないはずです(屁理屈とも言いますが…)。
結論から言えば、「バイクに乗ってイヤホンを使用する行為」は、グレーゾーン。違反と言わば違反だし、違反ではないと言えば違反ではありません。
すべてはイヤホンを使う側の「周囲に危害を加える危険はないか?」「危険を回避することはできるか?」という道徳心。また、取り締まる現場の警察官の判断によりけりだと思われます。検挙した警察官が「危険だ」と判断すれば、違反の対象となります。
とくにカナル型イヤホンの場合は、「音(音学など)がダイレクトに耳に届く」という長所がある一方、「周囲の音を遮断してしまう」という、運転時にはデメリットとなる側面もある。
例えば、こんな経験はありませんか? 街を歩いていると、イヤホンやヘッドフォンで音楽を聴きながら歩いている目の前の人が、突然止まってぶつかりそうになった。または、いきなり横から飛び出してきて驚いた。
あれは彼ら、彼女らが、イヤホンやヘッドフォンを装着しているため、耳から入ってくるはずの周囲の情報が遮断されているため。
街を歩く&バイクに乗る行為は、目で見るのと同時に、音によっても周りの状況を察知しています。察知することよって、次にとる行動を頭の中で判断し、結果的に危険を回避。バイクを乗る上で、音を察知するという行為は、非常に重要な要素を占めているといえます。
なので、バイクに乗りながら音楽を聴きたい、ラジオを聴きたい、通話をしたいならば、カナル型イヤホンではなく、周囲の音もしっかりと取り込めるバイク用インカム。こちらの方が安全、安心といえるでしょう。
もしも違反したら……(東京都の場合)
●公安委員会遵守事項違反
・反則金:原付5000円/自動二輸6000円
・違反点数:なし
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