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東大、直径わずか2mmのランの花から花粉を運ぶ昆虫の正体を遂に確認

マイナビニュース / 2024年4月2日 14時17分

画像提供:マイナビニュース

東京大学(東大)は3月30日、直径約2mmというラン科の中では世界最小級の花をつけることで知られ、東アジアに分布するヨウラクラン属Oberoniaが、双翅目昆虫(飛ぶための翅を2枚持った昆虫のグループで、ハエ目とも呼ばれる)の一種である「タマバエ」によって送粉されることを明らかにしたことを発表した。

同成果は、東大大学院 理学系研究科 生物科学専攻の砂川勇太大学院生、東大大学院 理学系研究科附属植物園の望月昂助教、同・川北篤教授らの研究チームによるもの。詳細は、生態学に関する全般を扱う学術誌「Ecology」に掲載された。

約2万6000種からなるラン科は、被子植物の中でも最大の科の1つであり、大小さまざまで非常に多様な花形態を持つことで知られている。これは多様な送粉者への適応進化を反映していると考えられ、進化論でお馴染みのチャールズ・ダーウィンをはじめとする多くの研究者が注目してきたという。

一般的には、コチョウランやカトレアなど大型の花をつける種が知名度が高いが、ラン科全体を見渡すと、1cm前後というとても小さな花をつける種の多様性が特に高いことがわかっている。しかし、どうしてこのような小さな花を持つ種が進化してきたのかはほとんど解明されていない。しかも先行研究によれば、ラン科の9割以上の種で送粉者が確認されておらず、温帯/熱帯アジア分布種、着生種、そしてしばしば双翅目昆虫に送粉される小型の種については特に研究が遅れている状況だという。

ヨウラクラン属Oberoniaは東アジアを含む旧熱帯地域に150~300種ほどが分布する着生性のランで、冒頭でも述べたように、穂状花序に直径約2mmというラン科でも最小級の花をつけることで知られている。その花の小ささゆえに送粉生態は長らくわかっておらず、ここまで微小な花を持つ理由は謎に包まれていた。そこで研究チームは今回、日本にも分布するヨウラクランO.japonica(以下、ヨウラクラン)を対象に、送粉者の正体を確かめたとする。

ヨウラクランは宮城県以南の本州~琉球、韓国、台湾の東アジア圏に分布し、Oberonia属の北限種に該当する。今回の研究では、2022年に愛知県の自生地において26.5時間の直接観察が実施された。その結果、夜間(20:00~6:00)に微小な双翅目昆虫が多数花を訪れることが確認されたという。計135個体採集された訪花者のうち、128個体(約95%)が体長2mmほどのタマバエであり、すべてメスの個体だった。

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