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吉川明日論の半導体放談 第297回 激化するビッグテックと当局の戦い

マイナビニュース / 2024年4月9日 6時35分

画像提供:マイナビニュース

米司法省によるAppleへの反トラスト法(独占禁止法)違反での提訴は、今後のビッグテック企業と当局の関係を象徴するような大きなニュースとしてとらえられた。これにより米司法省はGAFAと呼ばれる、世界規模で支配的な影響力を持つ巨大IT企業ビッグテックすべてと法廷で争うことになる。国境を超えてその経済圏を急速拡大し、億単位のユーザーへの直接的な影響を増大させるビッグテックと規制当局の戦いが米国や欧州を中心に激しさを増している。
Appleへの提訴でビッグテックすべてを相手に戦う姿勢を見せる米当局

今回の米当局によるAppleの提訴は、iPhoneやAppleウォッチの他社端末製品とのペアリング機能での制限、Appleが主にiPhoneで展開する各種サービスについて他社の参入を阻害する反競争的な構造を持っていると指摘している。一企業による市場の私的独占は競争原理を阻害し、技術革新の停滞、価格の高騰といった結果を招き、結局エンドユーザーの利益を阻害する、という考えが当局の強い姿勢の根拠となっている。独自の開発による優れた技術を確立し、それを基盤とした独自のエコシステムを構築することでビジネスを拡大してきた事を自負するApple側としては、この指摘は当然受け入れることは難しく、徹底抗戦の構えを見せている。

日々の多くの活動を携帯端末から繋がるネットの世界に依存している我々ユーザーは、その便利さゆえに、個人情報を含む多くの情報を躊躇なく渡してしまう行為を継続する。日々の技術革新によりサービスの価値がさらに増すと、ユーザーは「それなしでは生活できないレベル」までそのサービスに依存することになり、そのサービスに完全に囲い込まれる。こうして特定分野での競合の参入はさらに困難となる。各国の当局はまさにこの点を警戒している。

当局がある個別の企業を相手に独占禁止法違反で提訴し、勝利するためには次の2点を立証する必要がある。

その市場での明らかな独占状態
競争制限行為の不当性

しかし、当局が企業による私的独占を立証するのはかなり困難だ。というのも、ある企業が独占していると主張するその市場自体の定義が明確にできない場合が多いからだ。それに敢えて挑戦する当局には充分な警戒感がある。
デジタル市場法(DMA)を導入してビッグテックにさらなるタガをかける欧州委員会

欧州委員会はビッグテック企業のビジネスを規制するデジタル市場法(DMA)に違反した疑いで、Alphabet、Apple、METAの3社について調査を開始したと発表した。米系の巨大ITプラットフォーム企業を中心とするビッグテックに対し、欧州当局は早い時期からその悪影響を認識し、その急速な市場拡大を規制する法令を整備してきた。欧州委員会は域内のユーザー、企業を保護するために下記のような法令を設け監視の目を光らせている。

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