定時で上がろう! Excel関数の底力 第73回 Excelの新しい常識!?「スピル」の使い方
マイナビニュース / 2024年4月15日 15時0分
本連載は今回で最終回となる。これまでに色々な関数の使い方や活用方法を紹介してきたが、最後にExcelの「スピル」について詳しく説明しておこう。スピルは“数式や関数の使い方"に大きな影響を及ぼす機能となる。Excelの未来を大きく変える可能性を秘めているので、その使い方を必ず学んでおく必要がある。
スピルを使った数式の入力
最新版のExcel 2021やOffice 365には「スピル」と呼ばれる機能が実装されている。スピル(spill)は、日本語に翻訳すると「こぼれる」とか、「あふれる」といった意味を持つ単語だ。この機能を利用すると、数式や関数を入力したセルの周囲に“あふれる"ように“複数の結果"を出力することが可能となる。
簡単な例を交えながら使い方を紹介していこう。まずは、従来通りの手法で計算を行った例だ。ここでは単価が380円の「コーヒー」の料金早見表を作成する。以下の図のように数式を入力する。
続いて、この数式をオートフィルでコピーすると、料金の早見表を作成できる。
これと同様の作業を、オートフィル(数式のコピー)を使わずに実現する機能がスピルとなる。今度は「ビール」の単価を550円として話を進めていこう。以下の図に示したように「=550*B4:B13」という数式を入力する。
「Enter」キーを押して数式を実行すると、数式を入力したD4セルだけでなく、D5~D13のセルにも計算結果が表示されるのを確認できる。つまり、1つの数式で10個の計算結果を得られた訳だ。
このように、周囲のセルに“あふれる"ように結果を出力できる機能が「スピル」となる。先ほどの例について、もう少し詳しく説明していこう。
通常、数式を記述するときは、「=550*B4」のように“数値"や“セル"を記述するのが一般的だ。一方、先ほど示した数式(=550*B4:B13)には「B4:B13」という“セル範囲"が記述されている。
このように数式内に“セル範囲"を記述した場合は、その範囲内にある各セルについて個別に計算が行われていく仕組みになっている。「=550*B4:B13」と記述した場合、「=550*B4」、「=550*B5」、「=550*B6」、……、「=550*B13」という10個の計算が行われることになる。
当然ながら、その計算結果も10個になる。これらは隣接するセルに“あふれる"ように出力されていく。今回の例では、数式内のセル範囲がB4、B5、B6、……と下方向に変化していくので、計算結果も下方向に“あふれる"ように出力されていく。これが「スピル」の基本的な考え方となる。
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