H3ロケット3号機は「もう試験機ではない」 - 打ち上げに向けた計画が明らかに
マイナビニュース / 2024年4月16日 14時17分
●3号機から導入される新装置「機体把持装置」とは?
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工は2024年3月21日、三菱重工の飛島工場で、H3ロケットのコア機体を報道関係者に公開した。
このうち第1段は、次に打ち上げる3号機で使用される機体となる。3号機は初めて“試験機”がつかない打ち上げとなる。その一方で、打ち上げ前には、発射台に新たに取り付けた「機体把持装置」の試験が行われる。
試験機1号機の打ち上げ失敗、試験機2号機でのリベンジを経て、ついに宇宙の海へと漕ぎ出したH3が、次に挑む3号機のミッションとはどのようなものだろうか。
試験機2号機の打ち上げ成功
H3ロケットは、三菱重工とJAXAが共同開発している、次世代の大型ロケットである。
現在の主力ロケットH-IIAの後継機として、日本の基幹ロケット(安全保障を中心とする政府のミッションを達成するため、国内に保持し輸送システムの自立性を確保するうえで不可欠な輸送システム)と位置付けられているほか、国際競争力の強化によって商業衛星の打ち上げ市場で戦えるロケットにし、産業基盤の維持・強化も目的としている。
これを達成するため、これまで日本がつちかってきた技術を集結するとともに、新たな技術にも挑戦し、柔軟性・高信頼性・低価格を兼ね備えたロケットを目指している。
ロケットの全長は57m(ショートフェアリングの場合)、質量は419t(H3-22Sの場合)で、高度約500kmの太陽同期軌道に4t以上の打ち上げ能力をもつ。
H3の開発は2014年から始まり、エンジン開発で遅れを重ねたのち、2023年に試験機1号機を打ち上げた。しかし、第2段エンジンの着火に失敗し、ミッション達成の見込みがないとの判断から指令破壊され、打ち上げは失敗に終わった。
JAXAなどは原因究明と対策を進め、約1年後となる2024年2月17日、試験機2号機の打ち上げに成功し、リベンジを果たした。
試験機2号機の飛行結果については、現在JAXAと三菱重工でつぶさにデータを分析しており、3号機以降への反映事項があるかどうか結論を出していくとしている。ただ、全体的に非常に良好な飛行だったことがわかっており、離昇からロケット性能確認用ペイロード(VEP-4)の分離まで、予測値とほとんど誤差なしで飛行したという。
JAXAでH3のプロジェクトマネージャーを務める岡田匡史氏は「ロケットが飛行中、経路をモニターしていたところ、(予測値の)ど真ん中を飛んでいくような状態で、『これ本当かな?』と思うほどだった」と振り返った。
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