伝説の極楽浄土図、破格の羅漢図…“浄土教美術の名品”が集結-特別展「法然と極楽浄土」東京国立博物館
マイナビニュース / 2024年4月16日 15時0分
東京・上野の東京国立博物館 平成館で、特別展「法然と極楽浄土」が始まりました。鎌倉仏教の一大宗派・浄土宗が開宗850年を迎える節目の年に、開祖・法然ゆかりの宝物をはじめ、国宝や重要文化財を多数含む文化財が一堂に集結。平安時代末期から江戸時代までの浄土宗の歴史と美術を通覧する、史上初の展覧会となっています。
相次ぐ戦乱や飢饉、天災や疫病によって、人々が苦悩に満ちた「末法」の世を生きていた平安時代末期に、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と声に出して称えることによって、誰もが極楽浄土に往生できると説いたのが、比叡山で学んだ名僧・法然(ほうねん)です。「南無阿弥陀仏」は「阿弥陀如来に帰依します」という意味で、この6文字の念仏をひたすらに唱えるというシンプルな教えは、立場の異なる教団から批判を浴びながらも、その容易さから、貴族から庶民まで困難に苦しむ人々の支持を得て広がりました。
○「法然と極楽浄土」のみどころは?
同展では、法然による浄土宗開宗から徳川将軍家の帰依により大きく発展を遂げる江戸時代までを、4つのパートで紹介しています。
第1章の「法然とその時代」では、法然が教えのエッセンスをまとめた浄土宗の根本宗典、重要文化財の《選択本願念仏宗(せんちゃくほんがんねんぶつしゅう)》や、法然の生涯を伝える伝記絵の集大成、国宝の《法然上人絵伝》などが登場、浄土宗の歴史の始まりをひもといています。比叡山延暦寺の専修念仏停止の訴えに対して、法然が弟子たちに、七つの禁止事項に署名させた《七箇条制誡(しちかじょうせいかい)》には、弟子の名の中に、浄土真宗の宗祖・親鸞の若い時のサインもありました。
第2章「阿弥陀仏の世界」で登場する、「早来迎(はやらいごう)」の呼び名で知られる国宝《阿弥陀二十五菩薩来迎図(あみだにじゅうごぼさつらいごうず)》は、『紡ぐプロジェクト』の修理後初のお披露目です。ほかにも、阿弥陀の彫像や来迎するさまを描いた絵画の数々が、庶民にまで広がった信仰の高まりを伝えます。
法然没後に称名念仏の教えを広めようと全国で精力的に活動した弟子たちの足跡をたどる、第3章「法然の弟子たちと法脈」で登場するのは、蓮糸で織られたという伝説をもつ国宝《綴織當麻曼荼羅(つづれおりたいままんだら)》。奈良・當麻寺が所蔵する縦横4メートルの極楽浄土図は圧巻です。
徳川家康が増上寺を江戸の菩提所、知恩院を京都の菩提所と定めたことによって、教団の地位は確固たるものになっていった江戸時代。家康をはじめとする将軍家と諸大名の外護を得て、飛躍的に興隆した浄土宗の様子をたどる第4章「江戸時代の浄土宗」では、晩年の家康が滅罪を願って毎日筆写した念仏《日課念仏》や、江戸時代中期の高僧・祐天自筆の名号などが登場。
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