東大など、養液栽培で培養液を3℃加温すると植物の生育に効果があると発表
マイナビニュース / 2024年4月18日 6時35分
そうした中、培養液温度が、水や養分の取り込み、光合成、同化物の分配など、根の多くの生理学的プロセスに影響を与えることを解明してきたのが研究チームだ。これまでの研究で、培養液を室温より数℃高くすることで、植物の生育と品質が向上する可能性が見出されていたという。そこで今回の研究では、複数の室温で栽培したレタス(レッドリーフレタス)において、培養液を3℃加温することによる、植物成長や機能性成分への影響を調べることにしたとする。
室温は17、22、27、30℃の4条件下で、循環式の養液栽培システムにおいて、培養液を3℃加温する処理区と加温しない処理区を設けてレタスが栽培された。培養液温度の差が及ぼす影響を考える上で、網羅的に生理学的プロセスを解明することが重要なことから、カロテノイドやビタミンCなどの機能性成分の定量の他、植物におけるミネラル元素の取り込みを解明するためのイオノーム解析、代謝物の変化を網羅的に明らかにするためのメタボローム解析も実施された。
その結果、4つの室温条件すべてにおいて、地上部乾物重と地下部乾物重が有意に増加することが判明。培養液の3℃の加温による地上部乾物重の増加率が調べられたところ、室温17℃で23%、22℃で31%、27℃で18%、30℃で14%増加していたとする。
また培養液の加温によって、クロロフィル、カロテノイド、アスコルビン酸(ビタミンC)などの機能性成分が向上することもわかったという。さらに、根と葉における可溶性タンパク量や各種ミネラルが増加しており、特に葉では人体に良いマグネシウムや鉄などのミネラルが増加していたとした。
また、メタボローム解析の結果から、根ではグルタミン酸やアスパラギン酸など、アミノ酸合成の起点となるアミノ酸が増加していたことから、培養液の3℃の加温が根におけるアミノ酸生成を促進している可能性が考えられるとしている。
今回の研究成果は、新産業である植物工場において、作物の生産性と機能性成分を増産させる新しい栽培法の開発に貢献することが期待されるという。研究チームでは今後、最小の資源とエネルギーの投入で、最大の収量と品質を得るシステムを確立すると共に、環境負荷を最小限に抑える技術開発を進めていきたいと考えているとした。
(波留久泉)
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