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【京都産業大学】葉の形を変えて水中で生き延びる植物の謎を解明! ―国際学術誌 『Communications Biology』に掲載

Digital PR Platform / 2024年4月24日 14時5分

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京都産業大学の木村成介教授らの共同研究グループは、水陸両生植物Rorippa aquatica(ロリッパ・アクアティカ)を用いて、水没という環境変化に応じて植物ホルモン・エチレンが葉に作用し、葉の形が変わる、という「異形葉性のメカニズム」を突き止めた。今回の研究成果により、植物に備わっている能力を用いることで、環境変動下でも持続的に生産が可能な農業の安定化につながることが期待される。




植物種の中には、陸上でも水中でも生育できるグループ「水陸両生植物(amphibious plant)」がある。水陸両生植物は河川や湖沼などの水辺に生育し、水没すると水草のように、また干上がると再び陸上植物のように生育することができる。
アブラナ科植物の一種である水陸両生植物「Rorippa aquatica (ロリッパ・アクアティカ、以下R. aquaticaと略称)」は、陸上では幅広の葉を発生し、水没すると葉身が針のようになった水中生活により適した形の葉をつくる「異形葉性」という性質を持っている。このような現象は水陸両生植物でよく観察されてきたが、どのように水没を感知して葉の形を変化させているのかという仕組みはわかっていなかった。
京都産業大学生命科学部 木村成介教授らの共同研究グループは、R. aquaticaを用いて、これまで水陸両生植物で解読されていなかったゲノム解読を行った結果、R. aquaticaという種の成立過程が明らかとなり、遺伝子レベルでの研究を進めるための研究基盤が整った。さらに、今回解読したゲノム情報を活用し、R. aquaticaの異形葉性の仕組みを詳しく調べるため、水没させる前と後でそれぞれ遺伝子がどのように作用しているかを比較した結果、植物ホルモン・エチレンの働きが葉の形を決めるための鍵となっていることが分かった。水中葉形成のメカニズムを遺伝子レベルで明らかにしたのは、世界で初めての成果である。
近年、地球温暖化に伴う大規模な環境変動が顕在化している。本研究の成果は、変動環境でも生育可能な栽培品種の開発などにつながることが期待され、将来の農業生産性の向上に寄与できる。

木村教授は、「今回の研究は、水陸両生植物R. aquaticaのゲノムを解読することで、変動環境での植物の生存戦略を遺伝子レベルで研究する基盤を整えることができた。そして実際に、R. aquaticaがどのように水没を感じ取り、葉の形を変化させているかを明らかにすることができた。今回の成果を糸口に、植物がいかに巧みに環境変化に応答しているのかについてさらに研究を進め、将来的に地球温暖化などへの対策にもつながる成果を出していきたい」とコメントしている。
この研究成果は、2024年4月18日(日本時間)に国際学術誌 『Communications Biology』に掲載された。

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