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目標を達成させる報酬の与え方とは? - NTTが最適な介入を導く数理モデルを開発

マイナビニュース / 2024年4月19日 18時29分

進捗積み上げタスクにおいて、現在バイアスが弱ければ目先のコストに与える影響は小さく、コツコツと進捗を積み重ねられるのに対し、現在バイアスが強い場合には、直近でかかるコストが大きく感じられるため、先延ばしにしやすくなる。こうした傾向について研究チームは、βを「現在バイアスの強さを表すパラメータ」として以下の数理モデルを提案している。

そして併せて、このモデルを用いることで、進捗積み上げタスクにおける現在バイアスの強さに応じた挙動の変化を、閉形式(対象の挙動を有限個のよく知られた関数を用いて表すこと)で記述。これにより、現在バイアス下における人間の行動分析や介入効果の可視化が、直接計算により可能になるとした。

○現在バイアスに応じた最適な介入を検討

また研究チームは、目標達成に最適な介入についても数理モデルを用いて検討。数理最適化技術を駆使し、最適な報酬のスケジューリングを現実的な計算時間で求めることができるアルゴリズムを構築したとする。

それにより、現在バイアスの強さに応じて最適な報酬スケジュールが変化することも数学的に証明され、現在バイアスが弱い人には報酬をまとめて一度に設定する方法が効果的であるのに対し、現在バイアスが強い人には、報酬を分割して高頻度に設定することが最適であることを示したとする。

さらに研究チームによると、現在バイアスが強い人の場合、介入の方法によっては報酬総量が少ない場合の方が目標達成に大きく貢献する場合もあるとのこと。例えば4週間かけて大きな進捗を達成する場合、最終的な成功に対して5000円の報酬を用意した場合には途中で断念し目標が達成できない一方で、1週間ごとに1000円の報酬を与える(総額4000円)方法では、より大きな進捗を達成する可能性すら考えられるとしている。

○健康管理や学習・金融分野での活用に期待

なおNTTの赤木氏によると、今回発表された成果は未だ理論的なものであり、今後は被験者実験などを通じ、現実の目標達成タスクにおけるデータを用いてモデルの有効性を検証していくとのこと。さらに人間は現在バイアス以外にもさまざまな認知バイアスを持っていることから、社会科学や心理学、行動経済学などの人間行動に関する科学的知見を組み込んだうえで、より人間らしい振る舞いを模倣する数理モデルにしていくことを目指すとする。

また将来的には、効果的な介入により健康行動を促進させるヘルスケア分野に加え、学習支援や貯蓄行動の支援など、社会の本質的な価値に関わる意思決定を支援するシステムに技術を組み込んでいくことを目指すとしている。
(鶴海大輔)



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