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ガラスがより硬く割れにくい材料に変化する初期過程をNIMSとJASRIが観測

マイナビニュース / 2024年4月22日 17時24分

研究チームは今回、ガラス中に結晶核が生成するメカニズムを説明できるモデルを原子レベルとnmの空間スケールで提案することにしたという。nmスケールにおいては、熱処理前のガラスですでにZrが豊富に存在する領域とそうではない領域の分離が起こっており、熱処理によってその傾向がさらに進行すること、結晶粒子の析出は同元素が豊富な領域で起こっていることが示された。

一方で、最近接原子間距離から中距離の空間スケールにおいては、Zrが豊富な領域において、熱処理によって同元素の凝集が起こり、nmサイズのZrO2結晶格子に類似した周期的な構造が形成されることが明らかにされた。さらに、同元素が凝集した領域の周囲は、SiやAlによるガラスの骨格を形成するネットワーク構造によって囲まれており、そのような構造がガラスセラミックス形成における初期の結晶核となることが示されたとした。提案された構造変化のモデルは、今回の研究で実施されたすべての構造計測データを説明できるだけでなく、先行研究においてほかの手法で実施されたnmスケール構造計測や、ガラスにおける結晶核形成の理論研究の結果とも矛盾しないものとなっているとする。

今回の研究成果により、これまで観測が困難だった、乱れた原子配列の中に秩序が生まれる過程が解明された。広く研究されてきたガラスセラミックスの研究分野において、既報の研究結果とも矛盾なくガラス中に結晶核が生成するメカニズムについて新しい知見を提供するものとする。

また、今回の研究で実施された構造解析アプローチは、複雑な組成と乱れた原子配列を有する実用材料中の特定元素周囲の構造観測にも適用可能だという。今回確立された元素選択的な計測を中心としたマルチスケール構造解析法によって、今後、さまざまな実用材料の構造と物性の関係性の理解が進み、新しい高機能材料の合成がより活性化することが期待されるとしている。
(波留久泉)



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