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窓辺の小石 第164回 未踏のマルチタスク

マイナビニュース / 2024年5月3日 12時10分

画像提供:マイナビニュース

GitHubで、MS-DOS 4.0のソースコードが公開された。これに付随して、EU圏の一部メーカーがOEMしたMultitask版MS-DOSに関係するファイルも公開されている。このMultitask版MS-DOSは、一部のOEMメーカーにMS-DOS 4.x(写真01)としてライセンスされた。MS-DOS 4.xは、2種類存在したのである。

ソースコードが公開されているのは、Multitask版MS-DOSとは別にIBMが中心になって開発したPC DOS 4.0である。これはIBM PC用のPC DOS 1.0から続く普通のPC DOS/MS-DOSである。ただし、DOSSHELLなど一部のツールはこれに含まれていない。

IBMとMicrosoftは、PC DOSを共同開発していたが、IBMは、これをMicrosoftのソフトウェアであるとした。どうも、あとで、コードを盗んだ、盗まないで、訴訟になることを嫌い、Microsoftからライセンスを受ける形式にしたかったようだ。両者は、PC DOS/MS-DOS 5.xまでは、共同で開発を行い、以後は、個別に開発を行った。

最初のPC DOSは、シアトルコンピュータプロダクツ社の86DOSであり、Microsoftはのちにこれを買い取って自社製品とし、PC DOS 1.0としてIBMに提供した。PC DOSは、IBMの製品の名称であり、MS-DOSはOEMメーカー向けの名称である。ただし、PCクローンメーカー向けのMS-DOSでは、MSDOS.SYSがIBMDOS.COMになるような調整はしていたようだ(写真02)。

このMultitask版MS-DOSは、International Computers Limited (ICL。のちに富士通に買収)などがライセンスを受け、MS-DOS 4.1とした。また1986年にApricot Computers(のちにPC部門を三菱電機に売却)は、Multitask版MS-DOSをMS-DOS 4.0としてデモを行った。

Multitask版MS-DOSは、マイクロソフトが独自に開発していたものだ。Microsoft版UnixであるXenixに見切りを付けた1982年から、IBMとOS/2の共同開発を開始する1985年の間に開発が行われたと考えられる。マイクロソフトはUnix V7のライセンスを1978年に取得すると、Xenixを開発し、MS-DOSの上位となるマルチタスクOSとして製品化した。しかし、AT&Tが1982年Unixビジネスを開始すると、Xenixに早々に見切りを付けてしまう。AT&Tは、独禁法訴訟でコンピュータビジネスを止められていたが、AT&Tから地域電話会社が分離したことで制限が解除されUnixのビジネスを開始した。これに勝ち目がないと思ったのか、Microsoftは急速にXenixのビジネスに興味を失った。

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