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新iPad Pro、Macよりも先にM4チップを搭載した理由 - 松村太郎のApple深読み・先読み

マイナビニュース / 2024年5月9日 19時0分

メディアエンジンについてもM3を踏襲しており、iPad向けとしては初めて、AV1のハードウェアデコードに対応。SafariなどのWebブラウザ上での高画質な動画再生を行う際の消費電力の軽減に寄与すると考えられます。加えて、8Kに対応するハードウェアビデオデコードが盛り込まれた点も新しい要素でした。
最高のiPadを作り出す

今回、AppleがiPad Proで目指したのは「最高のiPadを実現する」ことでした。

2018年に、現在のフラットなデザインにたどり着き、意匠の面でこれ以上の進化を予測することが難しくなりました。そのうえで、M4モデル以前のiPad Proが抱えていた問題点は2つありました。

1つ目は、11インチモデルのiPad ProがXDR(Extended Dynamic Range)ディスプレイを備えていなかったこと。12.9インチiPad Proには、液晶パネルとミニLEDバックライトを組み合わせて、高コントラストを実現したLiquid Retina XDRが搭載されていましたが、同じProを冠するにもかかわらず、11インチモデルでは省かれていました。

このディスプレイは、MacBook Pro 14インチ・16インチでも採用されており、同じテクニックはAppleのディスプレイの最高峰ともいえるPro Display XDRでも用いられていました。ただ、iPadに搭載するには厚みが増してしまい、11インチモデルに収めるにはスペースが足りなくなってしまうか、厚みが大幅に増してしまいます。消費電力も上がるため、それまでと同じバッテリー持続時間を確保しようとすると、より多くのバッテリーを備える必要があり、厚みの増加につながるからです。

もう1つの問題は、iPad Pro 12.9インチモデル(M2)が非常に重たい、ということでした。Proモデルの最上位機種ということで、高品位なディスプレイの搭載を優先した結果だったといえるでしょう。
Tandem OLEDによる問題解決

11インチモデルへのXDRディスプレイの搭載と、13インチモデルの軽量化を目指したAppleは、iPadへの有機ELディスプレイの搭載に白羽の矢を立てました。しかし、iPhoneのようにサイズの小さなスクリーンではないため、反応速度と安定した高輝度をもたらすには工夫が必要でした。

そこで、Appleは「Tandem OLED」と呼ばれる、2枚の有機ELパネルを重ねるテクニックを用いることになりました。Appleはこれを「Ultra Retina XDR」と名付けています。iPadへの搭載は初めてですが、有機ELパネルの使い方としては数年来の技術といえます。

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