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“野球肘”の早期病変を超音波画像から高精度で発見するAIを開発

マイナビニュース / 2024年5月30日 13時56分

画像提供:マイナビニュース

京都府立医科大(京府医大)と兵庫県立大学の両者は5月29日、小中高生(成長期)の野球選手に多く見られる疾患で、“野球肘”とも呼ばれる「離断性骨軟骨炎」(OCD)を検出するAIを開発したことを共同で発表した。

同成果は、京府医大大学院 医学研究科 運動器機能再生外科学(整形外科学)の木田圭重助教、同・髙辻謙太大学院生、同・高橋謙治教授、兵庫県立大 先端医療工学研究所の小橋昌司所長らの共同研究チームによるもの。詳細は、整形外科に関する全般を扱う学術誌「Journal of Bone and Joint Surgery」に掲載された。

野球肘は、特に投球動作を繰り返すことによって引き起こされ、選手生命に深刻な影響を及ぼす可能性がある。OCDは、医学的には肘の関節部分の骨や軟骨に障害が生じることを指し、痛みや動きの制限が発生する。

同疾患の初期段階であれば、保存療法として投球や打撃の練習を控え安静にしていることで、半年から1年ほどで骨が自然に修復し、9割の患者が完治するという。ただし、初期段階は症状がほとんどないため早期の検出が困難であり、症状が現れた時にはすでに疾患が進行している例がほとんど。そうなると保存療法での完治は不可能で、最終的に手術が必要となるケースが多い。しかも、その場合の治る確率は5割程度しかないという。また、手術となると競技からの長期離脱を余儀なくされ、復帰するのも容易ではない。なお、中高の野球選手のうち、1.6~3.4%が野球肘に悩まされているという。

このように、OCDは初期段階のうちに検出することが重要だ。同疾患の初期段階での検出に適している手法が超音波検査だが、病変の判断には専門的な技術と経験が必要とされる。日本各地で年に1~2回、超音波画像診断装置を用いた「野球肘検診」が行われているが、人的資源と費用の問題から検診頻度は十分とはいえず、専門医も不足しているとのこと。また、痛みを我慢しながら競技を続けている選手も多く、症状が重くなってはじめて受診することが多いとされる。

初期段階のOCDを発見し、選手生命を守るためには、超音波検査をさらに広く普及させる必要がある。超音波検査は、医師以外の医療職でも資格を有してさえいれば実施することが可能なことから、肘の超音波検査の経験が浅い医療従事者でも簡便に利用でき、専門医と同等の高い診断精度を有するOCDのコンピュータ診断支援システムの開発が望まれていた。そこで研究チームは今回、超音波画像から肘関節の骨表面を自動検出し、その骨表面が健常なのかOCDなのかを識別するAIを用いた画像診断支援アルゴリズムの開発を目指したという。

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