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長周期彗星を迎え撃つ探査機「Comet Interceptor」とは? 日本が開発する子機に注目!

マイナビニュース / 2024年6月4日 7時30分

昨今、日本でも多くの宇宙スタートアップが活躍するようになってきたが、ほとんどは得意とする分野にフォーカスしている。それに対し、同社は地球観測や通信などのほか、月面インフラや深宇宙探査など、幅広いミッションを手がけるのが大きな特徴だ。特に、深宇宙探査となると、手を上げられるスタートアップはかなり限られるだろう。

子機B1の開発体制については、バス部がアークエッジ・スペース、ミッション機器がJAXA、という役割で進めるという。ただ、バス機器についても、新規開発の要素が大きい特殊なものについては、JAXA側と連携。たとえば、機体を保護するダストシールドや、自律シーケンスのソフトウェアなどがこれに該当する。

従来、宇宙では信頼性が最重視され、その結果、開発期間は長く、開発コストは大きくなり、どうしてもミッションや設計は保守的になる傾向があった。しかし近年拡大している超小型機は早く安く開発できて、チャレンジングなことがしやすく、スタートアップに向いている。これをうまく活用することは、JAXAにも大きなメリットがある。

その一方で、子機B1の開発で難しいのは、ミッションの性質上、やり直しはできないので、より信頼性も求められるということだ。かといってやり過ぎれば高コストになり、超小型の良さも失われてしまう。ちょうど良いバランスが必要で、これについては、スタートアップの手法とJAXAの経験をうまくミックスするやり方を模索しているそうだ。

柿原氏は、東京大学で6Uサイズの超小型探査機「EQUULEUS」の開発に関与。博士課程のときに同社の立ち上げに加わり、現在は同社側のプロジェクトマネージャとして、子機B1のシステム設計を担当しているが、「EQUULEUSでの経験が大きかった」と述べる。

EQUULEUSは、JAXAと東大が共同開発。2022年11月に打ち上げられ、水を推進剤とするスラスタによる軌道制御に成功するなど、多くの成果を残した。柿原氏は、この開発から運用まで一通りを経験。「衛星を作る上で大事なところや、環境試験で気をつけるところなど、基礎は全てEQUULEUSで学んだ」という。

子機B1の開発は現在、設計段階。今後、2024年後半から機器を順次作り始め、各種試験などを行った後、2026年にESAに納入する予定だ。
長い待ち時間、そして勝負の「50時間」

子機B1は24Uサイズで、重さは35kg程度。3枚×2翼の太陽電池パネルを搭載し、リアクションホイールで3軸姿勢制御を行う。推進系は持たず、母船からの分離後に軌道制御はできない。彗星の観測装置としては、可視光カメラ(2台)、水素コロナ撮像器、プラズマ計測装置(イオン質量分析器と磁力計)を搭載する。

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