労働⼈⼝激減の時代だからこそ究極の属⼈化 第1回 なぜ、「究極の属人化」が必要だと考えるのか
マイナビニュース / 2024年6月13日 7時0分
イノベーションを促進する施策はたくさんありますが、「資本」と「人材」を流動化させることは起爆剤の一つだと筆者は考えます。
「資本」に関して、政府による支援やわれわれのようなベンチャー投資ファンド(VC)などはその活動を通じて資本を流動化させ、新興企業の勃興を加速させています。それにより日本から世界で稼げる企業を生み出すなど、日本の産業活性を促そうとしているのです。
一方で、「人材」の流動化はどうでしょうか。実は日本の新卒一括採用文化は世界から見るとまれで、優秀な学生ほど大手企業に就職するのが日本の特徴です。そして大企業における激しい出世競争の中でチャレンジや失敗がしづらくなり、社員も組織も固まってしまう事態が起きがちです。日本には優秀な新卒が多く存在するのに、会社に入ってから個の活躍にブレーキがかかる状態が起こるのです。
人生100年時代、学びの期間はもっと長くて良い
現代人は人生が長くなりました。人生100年時代ともいわれます。一般的に、学ぶことが任務の生徒・学生時代は人生の前半20年ほど。日本の経済を支えるために70歳ぐらいまで皆が働くと仮定すると、社会人期間は学生期間の実に2.5倍の長さがあります。社会人になってから最初の20年間ぐらいは学生と同じようにさまざまな経験を積んで学び、自分の生きる場所を模索する期間にしても決して遅くないのではないでしょうか。
また、一つの組織で長きにわたり活躍し続けることも困難になってきています。かつては一社の中でゼネラリストとして多様な経験をし、事業成長と個の成長をリンクさせられる人もいました。しかし現代は成長企業が少なくなり、事業やポジションが減り、一つの組織内だけではキャリアの柔軟性が得にくい環境となりました。そして何より、新卒の時の価値観や想いを貫くには50年は長すぎます。時代の変化もどんどん速くなっており、個の活躍の仕方は変化して当然なのです。
転職を通して個々のチャレンジや失敗、学び、経験を適材適所に回していくことは、社会におけるイノベーションや経済・文化の成長をもたらすはずです。もちろんむやみな転職はお勧めしませんが、筆者は転職文化が未成熟な日本において良い転職を生み出す仕事をしているからこそ、読者の皆様にお伝えできることがあると信じています。
ここまで説明してきたような背景から、転職を通して人材を流動させ、適材適所で力を発揮することの重要性が浮き彫りになっていると感じます。そのためのテクノロジーも価値観も発達している中で、筆者が大切だと伝えたい「属人性」とは、テクノロジーや仕組み、マニュアル化では取りこぼしてしまうような「固有の能力」を指します。一体どのようなことなのでしょうか。以下に具体例を示します。
まさかの人材が活躍する
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