大河原克行のNewsInsight 第295回 中期経営計画を下方修正した三菱電機、事業成長へ投資分野を見極める内訳
マイナビニュース / 2024年6月10日 16時59分
また、公共、交通、電力事業といったインフラBA(ビジネスエリア)においては、防衛やソリューション事業に資源を配分。ポートフォリオの転換を進めるという。生産体制の最適化に向け、交通事業関連製品を主力とする長崎製作所と伊丹製作所を統合。電力事業の事業体制の最適化も進めている。「防衛予算の増加を背景に防衛事業への投資を進める。足元では受注が大幅に増加しており、事業拡大に必要な人員や生産ヤードの確保に向けてリソースシフトを進め、開発、生産体制を強化している。ソリューション事業では新たなサービスの事業化に向けて社内実装や組織の整備を進めている。インフラ領域において、新たな成長ステージに向かうべく、ポートフォリオの転換を進めている」と説明した。
自動車機器事業については、2024年4月1日に、三菱電機モビリティが事業活動を開始。電動化事業については、パートナー戦略を推進し、アイシンとの合弁会社設立に関して基本合意したことを発表している。また、カーマルチメディア事業の早期終息や適正な体格での事業の推進。電動パワーステアリングなどの収益力の高い事業にリソースを集中させる姿勢も示した。「自動車産業は構造転換の時代を迎えており、これを成長のチャンスと捉えて、再成長させる。環境変化を見据えた選択と集中を進め、収益力を向上。アイシンとの合弁会社設立により、三菱電機のパワーエレクトロニクス技術、モーター技術、制御最適化技術と、アイシンのインテグレーション技術とのシナジーを最大化し、多様化する電動化ニーズに対応していく」と述べた。
課題事業については、収益性の改善を進めながらも、撤退や売却の見極めを進めている。「課題事業のなかで、売上高合計で1300億円規模の事業が、利益率10%に回復し、課題事業の指定を解除した。だが、3900億円規模の事業に対しては、撤退や売却の意思決定をした。順次、事業の終息を進めている」と報告した。配電用変圧器事業やカーマルチメディア事業、インジェクタ事業、液晶テレビ事業、液晶ディスプレイ事業が、撤退や売却の対象になっている。
さらに、関係会社の再編を推進。2024年度はより抜本的な対策として、機能の強化と運営のスリム化を進めるという。また、政策保有株式は、2023年度に約1693億円を売却し、ルネサスエレクトロニクスの株式も売却。資産効率の向上を図った。「政策保有株は、原則として保有しない方針とした。保有意義が認められないものは積極的に売却する」としている。
デジタル基盤、三菱電機は「Serendie(セレンディ)」を発表
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