エイベックスが挑む「大麻布」の商品化、日本のものづくり文化を世界へ
マイナビニュース / 2024年6月13日 6時53分
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「大麻」と聞くとどういった印象を抱くだろうか? 危険な薬物として認識している人も多いかもしれない。しかし、大麻(ヘンプ)はアサ科の一年草として、日本では昔から繊維素材の「麻」として活用されてきた一面があり、神事に関係する場面などでも用いられてきたことも含め、日本人と関わってきた歴史は1万年ともいわれるほど壮大な物語が存在しているという。
そうした素材としてのヘンプの歴史を紐解き、日本人が忘れかけている「大麻布」の魅力を現代に甦らせることで、これまで日本において大麻布文化が育んで来た、自然との共存や持続可能な生活様式を世界へ伝えているのがエイベックスの「majotae(マヨタエ)」プロジェクトだ。また、現在、日本では大麻取締法でその栽培などが厳しく管理されているが、都道府県知事の認可を受ける形で大麻栽培は少数ながら行われており、栽培されているヘンプも違法な大麻成分(THC:テトラヒドロカンナビノール)をほとんど含まないものとなっている。
2011年からスタートした同プロジェクトは2024年、その集大成としてmajotaeのテキスタイルを世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ(ミラノデザインウィーク)」で披露した。
今回は、そんなmajotaeついてプロジェクトチームの渡部宏和氏に、大麻布に対する想いやミラノサローネで得た感覚、今後の展望などについてお話を伺った。
大麻布の歴史とmajotaeとしての挑戦の歩み
江戸時代、大麻の織物は丁寧な手仕事により精巧に織られていた。大麻繊維は何度も水にさらして天日干しをすることで柔らかくなっていく性質をもっている。そしてそれらは、名の有る職人や、人間国宝のような人ではなく、一般の農家の人たちが手作業で作っていたとされている。つまり、衣食住のさまざまな場面で活用されていた大麻は、日本人にとってあたりまえに生活の中にあった存在だったのである。
しかし、紡績技術の機械化が進む中で、機械では大麻布の柔らかさを再現することができず、より早く簡単に製造できるコットン(綿)に取って代わられていった。日本では、第二次世界大戦後の1948年に大麻取締法が施行された結果、国内での栽培が制限されたこともあり、今では一般に流通していない繊維となってしまった。大麻布は徐々に日本人の生活の中から忘れ去られつつある状態となっているのだ。
こうした歴史をもつ大麻は、少しの水で育ち成長も比較的早く、農薬や化学肥料も不要で輪作も可能、しかも不良土でも育つといった特徴から、地球環境に大きな負荷をかけず栽培できるサステナブルな素材として近年注目を集めている。
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