1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

どこでもサイエンス 第286回 雨の日の天文学者

マイナビニュース / 2024年6月12日 6時34分

画像提供:マイナビニュース

宇宙の神秘を緻密な天体観測で解き明かす天文学者。天文台では、夜に観測を行い、昼は休むという生活も普通のようです。ところで夜、雨が降っちゃったらどうするんでしょうか。雨の日の天文学者について記述した本を見つけたので、今回は、そこから語ろうと思います。あ、私の体験もあるといえばあるんですが、もう昔のことだからなあ(遠い目)。

日本のほとんどの地域では梅雨入りの季節を迎えています。梅雨は、世界的には特殊な気候ってのは、以前、お話しましたが、まあ、ともかく青空が見えない。夜についても7月7日などは織姫と彦星は本州のほとんどの地域では出会えないということになっております。星が見えないので。

で、ふと思うのです。星が見えないということは、天文学者はどうするのか。暇なのでは? いやお勉強しているのかなとかいう話です。

まず、大前提として、ほとんどの大学などに所属する天文学者は、天体観測をするために、天文台に出かけます。大学などに附属する天文台を使うこともありますが、やはり、都心にありがちな大学では観測条件がいまいち。夜空が暗い都会から遠く離れた場所にある(時に外国にある)大型の望遠鏡がある天文台に出向くことが多いのですな。

そして、そうした大型の望遠鏡がある天文台は、しばしば特定の天文学者が占有することができないのです。大勢の天文学者、時には海外の天文学者と使用権をシェアするのでございます。一回に使える時間は数日とか一週間とか、そんな感じで、何ヶ月も前に提案書(プロポーザル)を出して、審査され、「あ、これは望遠鏡をシェアさせる価値があるな」「他の提案と調整つくな」とかいう感じで、採択されてようやく観測ができるのでございます。もちろん、超新星やブラックホール同士の衝突での重力波発生など緊急観測の必要があると、割り込みがはいって、使用権を明け渡さないといけないこともあります。望遠鏡が使用できる数日から一週間は、非常に貴重なことがわかりますな。

さて、そんな貴重な日に、雨が降っちゃったらどうでしょう。いや、もちろん観測ができなくなります。電波望遠鏡など昼間でも観測できたり、天気が関係ない宇宙望遠鏡などだと状況は違いますが、地上から宇宙を狙う大型の天体望遠鏡だと、お手上げでございますな。

もちろん、大前提として、大型の天体望遠鏡は、晴天確率が標高が高いところに設置されます。日本国内で最大の望遠鏡は京都大学のせいめい望遠鏡ですが、これは岡山県の瀬戸内海側に設置されています。瀬戸内気候の岡山県の南部は「晴れの国」というくらい晴天確率が高く(というか1ミリ以上の雨の日が少なく)、そのために1960年に東京大学が当時日本最大の望遠鏡を設置、その後国立天文台に引き継がれ、2018年まで全国の大学の研究者が望遠鏡シェアをして使ってきました。また、同じサイトに京都大学が大型望遠鏡を設置したということなのですな。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください