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【書評】賛否真っぷたつ、「トランスジェンダーになりたい少女たち」はヘイト本? SNSが加速させる社会的流行の実態と、物足りない視点

マイナビニュース / 2024年6月12日 8時31分

画像提供:マイナビニュース

昨年、三重県の温泉施設で、女湯に入ろうとした男性が逮捕されました。男性は「心は女なのに、なぜいけないのか」と話していたそう。男性の言い分を信じるのなら、男性の体に生まれついたけれど、心は女性。つまり、性別違和を抱えているということになります。もめごとが大好きなSNSでは、「心は女だと言い張れば、女湯に入れる。ラッキー」というような意見も散見されましたが、もちろんそんなことはありません。厚労省によると、女湯に入れるかどうかは、本人の違和感や戸籍に関係なく、身体的な見た目で判断されるそう。ですから、男性がいくら「心は女だ」と言い張ったとしても、たとえば男性器があったりした場合、女湯には入れず、ルールを破れば建造物侵入などの罪に問われることもあるそうです。

生まれついた性と「私はオトコ(オンナ)である」という性自認が一致しない人はいて、彼らはトランスジェンダーと呼ばれています。上述した男性も、そのうちの一人なのかもしれませんし、たとえば、結婚しているとか、職場の理解が得られそうもないなどの理由で、身体的な手術には踏み切れないなど、いろいろな事情を抱えているのかもしれませんから、女湯に入りたいのはわいせつ目的だと決めるのは早計だと思います。しかし、その一方で、性自認という言葉のあやふやさも避けて通れないように思うのです。自分がオトコ(オンナ)だと思えば、それは絶対に正しいのか。そこはもうちょっと慎重に考える必要があるのではないでしょうか。

そこで、今日はその答えを探すために、アメリカ人のジャーナリスト、アビゲイル・シュライアー著『トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇』(産経新聞出版)をご紹介したいと思います。

○「男性になりたい」とトランスする少女が急増するアメリカの実情

シュライアー氏は、欧米において少女たちが「男性になりたい」とトランスする例が後を絶たないことから、少女たちの意志ではない「何か」が働いていると考え、取材を始めます。女性が男性にトランスする場合、テストステロン(男性ホルモンの一種)を摂取し、バストや子宮を切除し、本人が望むのなら、クリトリスをペニスに作り替えるという手術に挑むことになります。生殖機能は失われますし、大手術であるが故に、すべての手術がうまくいったとは言い難いのが実情で、後遺症を抱えている人たちも少なくないそうです。また、性別移行したはいいものの、自殺してしまったり、性別移行を後悔している人もいて、だからといって、もうどうにもならない。後戻りできない手術であることを考えると、安易な判断、手術は慎まなくてはいけないことは明らかですが、トランス当事者からすれば、慎重論は性別移行の権利を阻害するものであり、とんでもないヘイト本だとみなされているようです。
○思春期の少女を後押しするSNSと、セラピストの存在

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