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『からかい上手の高木さん』永野芽郁の予期せぬ涙、高橋文哉のやりとり…今泉力哉監督が出会った場面

マイナビニュース / 2024年6月13日 12時30分

――印象的なシーンがいくつもありました。プールでのやりとりや、そのあとの海沿いの道のシーンも。

プールでは、永野さんが泣くシーンではないのに泣いちゃって。技術や表面的な芝居ではなく、本当に心で演じないとそうはならない。結局、全体の流れとして「ここで涙は早いかも」ということもあって撮り直しましたけど、感動しましたし、とても嬉しかった。本編には残っていないですが、そういう瞬間に立ち会えるために映画を作っている部分もあるので。そのあとの、着替えてきた2人の「マネしないでよ」と言ったやりとりや、道を歩いているあたりから、一気に作品の空気が締まった気がします。緊張感が出てきたというか。恋愛の温度含め。本当は歩きながら「高木さん……いい人いるのかな。聞くんだ、俺! 彼氏がいるか聞くだけじゃないか!」とかいう結構コミカルな西片のナレーションを入れるつもりだったんです。

――そうなんですか!?

僕としては、この段階では少しコミカルにいった方がいいかなと思っていました。でも編集部や音の仕上げチームから「ナレーションは外した方がいい」と言われまして。それで外してみたら、沈黙を含め、高木さん側も西片を気にしている感じが見えて、探り合いの様子が深まって、「そうか」と僕も納得しました。終盤の長回しに向けてこのあたりはまだ軽めにしようと思っていたんですが、僕が考えていた以上にこの時点で空気が出来上がっていたんです。

――いまお話に出た終盤、まさに高木さんと西片が教室で並んで話す場面が素晴らしかったです。監督として「横並び」にはどんな思いがありますか?

教室の2人もそうですが、歩いている時も横並びですよね。今回特にいいと思ったのは、相手を見ずにしゃべれること。向かい合わないからこそ、ちょっとした視線のやりとりが効くし、本音を言うのが難しい時も、横並びだと言える。もっとちゃんと伝えたい時は、体ごと相手に向く。そういった差も描けて、やっぱり横並びはいいなと思いました。

あとは物理的に、2人とも正面を向いているので、ワンカットで両方の顔が見える絵を撮ることができる。そういう意味でも僕の監督作では昔から大事な場面は横並びが多いのかもしれません。カット割りしたくないんですよ。カット割り自体に作意を感じてしまって。そもそも映画ってフィクションだし、本来カットの積み重ねで構成されているものですけど、本当に大事な場面はできるだけ2人きりにしたい。撮れた素材をああだこうだといじりたくない。触れたくない(笑)。そういう静かな固定カメラ長回しの場面って、僕はピン送り1つでもカメラの存在を感じてしまうんです。でも、もちろん隠しカメラではああはならなくて。細かい演出は各部署がしてくれていまして、今回の終盤の教室の場面で言うと、校庭での野球部の音を少しずつ静かに、バレないように消していってます。なるべく2人きり、2人とお客さんだけにしたかったのです。
○クライマックスの衣装は「白で」と

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