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大河原克行のNewsInsight 第301回 パナソニック冷蔵庫のマザー工場、世界トップの生産効率を目指す草津工場の内部

マイナビニュース / 2024年6月20日 14時11分

また、ミックス生産方式は、同社が展開している指定価格制度(新販売スキーム)に最適化した生産ラインになっているともいえる。

パナソニックが一部製品で採用している指定価格制度は、メーカーが指定した価格で販売が行われる一方、販売店の在庫はメーカーが責任を持ち、売れ残ったら商品の返品を受け付けることができるというものだ。これを効果的に展開するには、販売店における適正な在庫水準を維持することが重要であり、売れた分を適切なタイミングで補充することが、在庫リスクを減らし、販売機会を逃さないことにもつながる。

指定価格制度による冷蔵庫の販売金額比率は、2023年度実績で約35%であったが、2024年度は4割を目指している。400L超では、15品番をラインアップしており、そのうち10品番が指定価格制度の対象製品になるという。

「理想は1台売れたら、1台作るという体制である。いつでも、どんな機種でも作り、在庫を少なくするモノづくりを目指したい」とし、そこにミックス生産方式の仕組みを生かす考えだ。

多種多様な機種を、タイムリーに生産し、供給できるミックス生産方式は、指定価格制度には不可欠な仕組みだといっていいだろう。
○草津工場の冷蔵庫生産ライン

では、草津工場の冷蔵庫生産ラインの様子を見てみよう。

生産ラインを見てもわかるように、生産した冷蔵庫は全量で性能検査や品質検査を実施しているが、設計、開発段階でも厳しい試験を行っている。その試験内容も公開した。

温湿度衝撃試験では、様々な気温や湿度環境で冷却試験を実施。日本各地の平均な気温や降水量をもとに、利用環境を想定して試験することで設計品質を向上。設計の際に放熱スペースの極小化することにもつなげている。

夏場の高温多湿を想定した試験室では、温度35℃、湿度80%の環境で稼働。周りを5mmの幅の枠で囲い、より負荷が高い環境で実施している。冷凍室には実際にアイスクリームを入れて、扉を開閉するといったことも行う。また、5℃の試験室では、庫内に霜がついたり、冷凍サイクルの異常発生していないことを確認したりといったことを行う。

衝撃試験室は27室を用意しており、300台弱の冷蔵庫を一気に検査できる。

ドア開閉試験は、上部の回転側ドアと下部の引き出しドアを含めてすべてのドアが対象に実施する。

試験時にはドアポケットやトレイ内に、最大収納量を搭載した形で実施。開閉試験回数は20年間の利用を想定したものになっており、ドアを開ける際の手の位置についても、真ん中だけでなく、端から引っ張ることを想定した試験を実施している。また、試験室内はあえて寒くしている。ドアについているパッキンのゴム素材が、気温が低くなることで固くなり、劣化しやすいことを考慮し、それを再現した形で試験を行っているという。冬場の朝のキッチンまわりの温度を想定した環境だという。

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