AIによってコンタクトセンターはどう変わるのか? 第1回 コンタクトセンターのDXでボイスボットに注目が集まっている3つの理由
マイナビニュース / 2024年7月3日 10時10分
生成AIの登場により、企業でもさまざまな事業においてAIソリューションの導入・検討が進む中、顧客との窓口であるコンタクトセンターでもAIを活用して、人手不足の緩和や顧客体験(CX)向上を目指す動きが加速しています。
中でも、数年前まで導入事例がほとんどなかったボイスボット(音声AI応対システム)が、ここ1~2年でコンタクトセンターのDX(デジタルトランスフォーメーション)において活用される例が増えています。
本連載では、ボイスボットに焦点を当て、顧客体験を握る窓口であるコンタクトセンターの最前線について、コンタクトセンター構築業務に15年以上携わり、トゥモロー・ネットで取締役 CPO AIプラットフォーム本部 本部長を務める澁谷毅が解説します。
第1回となる今回は、コンタクトセンターの歴史および企業のDXにおいてボイスボットが注目されている理由をひも解いていきます。
コンタクトセンターの始まりは、各所の問い合わせを一挙に引き受ける専門部署の設立から
企業は長らく、カスタマーサービスやカスタマーサポートをコストと見なしてきました。コストはできるだけ低く抑えたい。そこで1970年代ごろから、店舗や事業所ごとに受けていた問い合わせの電話を集約することでコストを下げたのが、コンタクトセンターの始まりです。
専門部署であるコンタクトセンターでは、人的リソースを抑えられるというコスト削減だけではなく、これまで店舗や事業所でおのおのが受けた電話の内容をデータ化し、情報を蓄積できるようになりました。その結果、次に同じような問い合わせがあった際に質の高い対応につなげること、時期によって増加する問い合わせ内容を予測することが可能になり、CX向上にも寄与しています。
ある程度コンタクトセンターが増えると、東京・大阪・名古屋などの大都市圏ではオペレーターの時給が上がって、コスト削減効果が薄れてきました。そこで、コンタクトセンターは地方進出を始めます。
まず先進的な一部の自治体などが、雇用対策としてコンタクトセンターを誘致し、コンタクトセンター業界の有識者が集まってオペレーターの教育プログラムを作りました。その後、各地方自治体が同様の企業誘致を始め、日本各地に広まっていきました。大都市圏に比べて時給が安い傾向にある地域へ進出したり、企業誘致の助成金を活用したりしたことで、コスト削減効果を十分に得ることができました。
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