ANAとJALが共同で「カスタマーハラスメントに対する方針」を発表
マイナビニュース / 2024年7月1日 12時34分
全日本空輸(以下、ANAグループ)および日本航空(以下、JALグループ)は6月28日、「カスタマーハラスメントに対する方針」を発表。両社は共同で、カスタマーハラスメントの定義、および該当行為例を9項目に整理して明文化した。代表者は「お客様に高品質なサービスを持続的に提供していけるよう、従業員が安心して働き続けられる環境を構築してまいります」と説明している。
○■安心で快適な空の旅に向けて
冒頭、ANAグループの宮下佳子氏が説明した。カスタマーハラスメントが社会問題化し、世の中の関心も高まっている昨今。厚生労働省では2022年2月に「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を発行している。直近では、東京都では条例化に向けた検討を進め、また厚生労働省では従業員を守る対策を企業に義務付けるよう検討中。今後も、カスタマーハラスメント対策への動きはますます加速していくと考えられている。
宮下氏は「これまで明確な基準がなかったことで、現場ではお客様対応の判断に迷うことがありました。従業員に大きな負担がかかり、結果、休職や退職を余儀なくされるケースも発生しています」と報告する。ANAグループ、JALグループともに、昨年度だけでも約300件ほどのカスタマーハラスメント事案を確認。暴言、長時間の拘束、過剰な要求などはどの部門でも確認されたほか、空港や機内では暴行も発生しているという。
「将来を担う大切な従業員が、そのような理由で職場を離脱することに会社としても強い危機感を感じております。お客様に高品質なサービスを提供する担い手である、従業員の職場環境を守りたいという思い、また業界として対策を推進していきたいという思いは、ANAグループ、JALグループともに共通しています。そこで今般、共同方針を発表するに至りました」(宮下氏)
続いて、JALグループの上辻理香氏が説明した。両社ではサービスの提供を通じて利用者から寄せられる意見・要望は”金言”であり、企業の新たな気づき、従業員の成長につながるかけがえのないものと捉えている。しかし暴言や暴行などの著しい迷惑行為が発生した場合、安心・安全な空の旅の提供が難しくなってしまう。そこで著しい迷惑行為に対しては組織的に対応していくと説明。
カスタマーハラスメントの定義としては『顧客または取引先などを含む第三者からの優越的な立場を利用した「航空法、その他関連する法規に反する行為」、および「これらにつながりかねない行為」、または「義務のないことや社会通念上、相当な範囲を超える対応を要求する行為」により従業員の就業環境が害されること』と定めた。
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