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産婦人科医が語る「AMH」の重要性 - 不妊治療が保険適用になり2年、現場で起きていることは【取材レポ】

マイナビニュース / 2024年7月2日 9時15分

AMH(抗ミュラー管ホルモン)とは、卵胞で産生されるホルモンを指します。女性の体内にある卵子の数は産れる前(母体の中にいるとき)が最も多く、加齢とともに年々減少していきますが、その数は年齢だけで推測できるものではなく個々で異なります。血中のAMH濃度の値から卵巣予備能・卵子数を推測するのがAMH検査(血液検査)で、この6月から一般不妊治療でも保険適用となりました。

不妊治療を行う場合、タイミング療法→人工授精→体外受精……と、それぞれ約6周期でステップアップをしていく形が一般的とされていますが、全ての人にこの流れが適切ということではなく、その判断をするための重要指標のひとつがAMH値です。

日本産婦人科学会の調査結果によると、女性の加齢とともに妊娠率・生産率は低下しており、特に35歳を過ぎると急激な低下がみられます。ここには加齢とともに卵子の数・質が低下することが関わっていますが、絹谷医師はAMH値を世代別に比較したデータを引用し、同じ年齢でもAMHの数値にばらつきがあることを指摘、「将来的に妊娠を望む方にとって、自分のAMH値を早く知ることが重要」と強調しました。
■妊孕制の教育、企業のサポートが求められる

続けて石渡産婦人科病院院長 石渡勇医師が登壇し、日本における少子化問題の要因や必要な対策を話します。

生殖補助医療による出生児数は年々増加しているのに対し全体の出生児数は減少傾向が続きます。このような少子化の進行は社会経済に多大な影響を及ぼす国民共通の困難として、「希望出生率1.8」を目標とした施策「少子化社会対策大綱」が2020年5月に閣議決定されました。不妊治療の負担を軽減し出生数を上げていくことは、妊娠を望む個々人のみならず、国全体の少子化問題を考える上で欠かせない取組みです。

石渡医師は少子化対策について、学校教育における性教育の適正化、中でも妊孕性(妊娠するための力)に関する教育を15歳までに完了することの必要性を説明しました。

「結婚すればいつでも妊娠するということではなく、年齢や個々人の体の状態により妊孕性は異なること、不妊治療をする場合はそれらを総合的にみた上で個別に治療方針が成り立つことの伝達を、包括的性教育の中でぜひ進めてほしい」と話しました。

さらに、不妊体験者による、不妊体験者のためのセルフサポートグループとして活動するNPO法人Fine(ファイン)理事長の野曽原誉枝氏は「不妊治療と仕事の両立」における課題を指摘します。

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