大河原克行のNewsInsight 第304回 陳謝ではじまったシャープの新経営体制、株主総会で宣言した新「SHARP」の姿
マイナビニュース / 2024年7月2日 14時20分
シャープは、2024年6月27日、第130期定時株主総会および取締役会を開催し、沖津雅浩副社長の社長兼CEOへの就任を決議した。呉柏勲(ロバート・ウー)社長兼CEOは、代表取締役副会長に就く。
株主総会の冒頭、呉氏は、「2年連続での大幅な当期純損失を計上したこと、無配となったことを深くお詫びする。誠に申し訳ございません」と述べ、経営陣全員が起立し、陳謝した。
「業績不振の最大の要因は、ディスプレイデバイスにおいて、市場環境の変化への対応が遅れたことである。まずはこの課題に手を打つ。2024年度上期中にSDPの生産停止と、中小型ディスプレイ事業の固定費削減を進め、赤字の縮小に取り組む。競争力強化に努め、さらなる増収増益を目指す」と述べた。
また、「2024年5月14日に発表した中期経営方針において、ブランド事業に集中した事業構造の構築を具体化し、新たな成長モデルを発表した。その実行体制において、長年にわたりブランド事業を牽引してきた沖津氏が、社長兼CEOとして適任であるとの結論に至った」と述べた。
これを受けて、2024年度の取り組みおよび中期経営方針の進捗状況については、沖津新社長が説明した。
「ブランド事業では、特長商品や新規カテゴリー商材の創出、海外事業の強化、低収益事業の改善などに取り組み、増収増益を目指す。一方で、デバイス事業においては、ディスプレイデバイス事業は赤字の大幅縮小、エレクトロニックデバイスは減少減益の見通しである」ととしたほか、中期経営方針では、「デバイス事業のアセットライト化」、「新たな成長モデルの確立」、「本社機能の強化」の3つに重点的に取り組み、「将来の飛躍的成長を目指す」ことを改めて訴えた。
○堺は生産停止、ディスプレイ方針転換の行方
SDP(堺ディスプレイプロダクツ)については、2024年度上期中の液晶パネルの生産停止に向けたプロセスを推進しており、その後はAIデータセンターへの転換を図るべく、ソフトバンクやKDDIなどとの協業を開始していることを報告。「建物だけを貸すのではなく、シャープが持っている技術などを生かせるような協業を検討しはじめているところだ。シャープにも、相手にもメリットがある形で、敷地を活用していきたいと考えている。詳細が決定したら報告をする」と語った。
SDPの停止に伴うユーティリティ関連の費用は2023年度の事業構造改革費用に計上。従業員の退職に関しては、2024年度に費用を盛り込み、再就職支援も開始している。また、液晶パネル生産の設備については、海外で利用できる企業と相談を開始しているという。
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